工場に太陽光発電を設置するメリットとは?デメリット、課題を解決する対策について紹介
2025年10月31日

2020年10月、政府は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことを目標に、カーボンニュートラルの実現を宣言しました。これを受け、工場では脱炭素化への取り組みが急務となっています。とくに工場では、CO2を排出する機械が多数稼働しているため、温室効果ガスの削減に向けた具体的な対策が求められています。
温室効果ガスとはCO2、メタン、N2O(一酸化二窒素)、フロンガスなどが含まれ、これらは地球温暖化の主な要因とされています。温室効果ガスの排出量を削減する取り組みの一例として、発電方法を化石燃料から再生可能エネルギーへと転換する「太陽光発電」に注目が集まっています。
太陽光発電には多くのメリットがある一方で、導入にあたっては一定の課題や注意点もあるので、設置の際には注意しましょう。本記事では、太陽光発電の意味を紹介するとともに、工場の屋根に設置する際のメリット、導入時に考慮すべき課題、具体的な解決策について詳しく解説します。
参考記事:カーボンニュートラルとは(環境省)
太陽光発電とは
太陽光発電とは、太陽光で発電を行うためのパネル状の設備のことです。パネル部分は、主にシリコンなどの半導体で構成されており、太陽光が当たることで日射の強さに応じて光エネルギーを電気エネルギーへと変換します。
太陽光発電は、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーの一つとして、環境負荷の少ない「クリーンな発電方法」としても注目を集めています。
太陽光発電の利点・メリット
実際に太陽光発電を導入すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、太陽光発電の導入時に得られる利点・メリットを紹介します。
| メリット・利点 | 詳細な内容 | 関連する効果 |
| 屋根・屋上を有効活用 | 太陽光発電設備は工場立地法の対象外であり、敷地面積の制限を受けずに屋根や屋上スペースを有効活用できる。 | 工場立地法の制限回避 |
| 光熱費を削減できる | 自家発電が可能となり、電力会社への依存を低減。日中の電力購入量が減り、デマンド値(契約電力決定の基準)を抑制することで基本料金も削減可能。 | 電気代の削減、デマンド対策 |
| 災害時・停電時の電力供給 | 蓄電池と併用することで、発電した余剰電力を蓄え、夜間や停電時など電力供給が不安定な状況でも安定した電力確保が可能。 | BCP対策、電力安定供給 |
| 環境負荷の軽減 | 温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーであり、政府のカーボンニュートラル実現に向けた脱炭素化に貢献する。 | CO2排出量削減、SDGsへの貢献 |
屋根・屋上を有効活用できる
国内で一定規模以上の工場(特定工場)を新設・変更する際には、工場立地法に基づき、市町村への事前届出が義務付けられています。
工場立地法とは、工場の立地が環境保全に配慮しながら、適正に行われることを目的として制定された法律です。この法律では、敷地面積に対する生産施設・緑地・環境施設の割合などが定められています。なお、太陽光発電設備は工場立地法の対象外となるため、屋根や屋上スペースを有効に活用することが可能です。
参考記事:工場立地法(経済産業省)
参考資料:工場立地法FAQ集(経済産業省)
光熱費を削減できる
工場の屋根に太陽光発電を設置することで、自家発電が可能となり、電力会社への依存を減らすことができます。この働きによって、光熱費を削減できる他にも、日中の電力購入量が減る作用によって「デマンド値(30分間の平均電力使用量)」を抑える効果も期待できます。
高圧受電者の場合、過去12カ月の最大デマンド値が契約電力として設定されるため、デマンド値を抑えることで基本料金を削減できます。
参考資料:自家消費型太陽光発電設備の導入(環境省)
災害時・停電時の電力供給

太陽光発電は、蓄電池と併用することで、日中に発電した余剰電力を蓄え、必要なタイミングで使用することが可能です。
蓄電池とは、電気を一時的に蓄え、夜間や停電時などに供給できる装置を指します。太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、災害時・停電時・夜間・曇天時など、電力供給が不安定になりがちな状況でも、安定した電力の確保が可能となります。
蓄電池は企業のBCP(※)対策としても注目されており、昨今では緊急時における事業の中断防止・早期再開を支える重要な設備として多くの企業で導入が進められています。
※BCP……自然災害・事故・感染症などの緊急事態に備え、企業が事業を継続または迅速に再開するための計画。
太陽光発電のデメリット
太陽光発電には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。設置後に後悔しないためには、メリットだけでなくデメリットについても事前に理解しておくことが重要です。ここでは、太陽光発電の主なデメリットを紹介します。

設置費用がかかる
太陽光発電は、ソーラーパネルの他にも、パワーコンディショナーや架台など、複数の設備を組み合わせて構成されています。
パワーコンディショナーとは、発電された直流電力を交流電力に変換する機器のことです。架台とは、これらの設備を屋根などに設置するための土台となる構造物を指します。
このように、太陽光発電の導入には、ソーラーパネルをはじめとする各種設備の設置工事費が必要となるため、初期費用が高くなります。屋根の大きさや状態によっては、補強工事が必要になるケースもあります。
気温・天候の影響を受けやすい
太陽光発電は、自然の力を使うため季節・天気によって発電量が変わります。そのような理由から、電力における「発電量(供給)」と「消費量(需要)」のバランスが崩れると、大規模な停電などのトラブルに繋がる恐れも……。
こうした不安を軽減するためにも、太陽光発電のみに頼るのではなく、出力調整が可能な火力発電などと併用して、電力の安定供給を図ることが重要です。
参考記事: 7.再エネ(資源エネルギー庁)
定期的なメンテナンスが必要
太陽光発電は、パネルの表面に汚れ・ホコリ・鳥の糞などが付着すると、太陽の光をうまく通せなくなり、発電効率が低下します。
とくに工場などでは、粉塵・排気ガスの影響を受けやすいため、こまめな清掃が欠かせません。パネルの他にも、電気を変換するパワーコンディショナーや配線なども時間とともに劣化していくため、長く安定して使うには定期的なメンテナンスを実施する必要があります。
その他にも、資源エネルギー庁が定める「FIT改正法」により、太陽光パネルを導入した建物には定期点検の義務があります。売電を実施する場合であれば、3〜4年に1度の点検が必要とされており、これを怠ると契約が解除される可能性もあるため注意が必要です。
参考記事:屋根置き太陽光発電は「汚れ」で発電量ダウン No.41(一般社団法人新エネルギーO&M協議会)
参考記事:令和5年度改正(資源エネルギー庁)
輻射熱を反射できない
太陽光発電を設置することで、屋根材に直射日光が当たる面積が減り、熱の影響を受けにくくなります。ただし、太陽光発電には日射によって発生する「輻射熱」を抑える効果はありません。
輻射熱とは、遠赤外線によって伝わる熱のことで、人体の体感温度を上昇させる作用があります。夏の暑さ対策を行う際には、太陽光発電に加えて遮熱対策を行うことが大切です。
課題を解決する対策
太陽光発電にはいくつかの課題もありますが、他の設備を組み合わせることで、それらを補うことが可能です。ここでは、太陽光発電が抱える主なデメリットと、それを解決するための対策について紹介します。
蓄電池を併用する
太陽光発電には「天候に左右されやすい」という特性がありますが、余剰電力を蓄えるのに役立つ「蓄電池」を併用することでこの課題を補うことができます。
蓄電池との併用により、晴天時に蓄えた電力を雨天・曇天時に活用できるほか、電力消費の少ない日に蓄電し、消費量の多い日に使うことも可能です。
屋根用スプリンクラーを設置する

屋根用スプリンクラーとは、屋根に水を撒く装置を指します。屋根にスプリンクラーを設置することで、散水した水が蒸発する際に屋根表面の熱を奪う「気化熱」の作用を利用し、屋根の表面温度を効果的に下げることが可能です。
その他にも、太陽光パネルには温度が上昇すると発電効率が低下する性質があるため、散水によって表面温度を下げることで、発電効率の低下を抑えることが可能です。
遮熱シートを屋根に施工する
屋根に遮熱シートを施工することで、日射から発生する輻射熱を反射し、室温上昇を防ぎます。遮熱シートとは、輻射熱を反射する性質を持つ金属製のアルミシートであり、太陽光パネルの設置前に施工することが可能です。遮熱シートと太陽光パネルを併用することで、より高い断熱・省エネ効果が期待できます。
工場の折板屋根には、弊社の特許工法である「スカイ工法」が最適です。スカイ工法とは、輻射熱の反射性能に優れた遮熱シートを屋根に直接貼り付ける工法のことです。太陽光パネルの設置前にスカイ工法を導入することで、スムーズな施工が可能になります。
参考記事:スカイ工法
工場の屋根に、サーモバリアがおすすめである理由
工場の屋根に遮熱シートを施工する場合、遮熱性能に優れた弊社の製品「サーモバリア」がおすすめです。ここでは、遮熱対策としてサーモバリアを推奨する理由について紹介します。
| 特長・推奨理由 | 貢献する課題解決 | 詳細な内容 |
| 高い遮熱効果 | 輻射熱による室温上昇の抑制、空調効率の向上。 | アルミ純度99%の高純度アルミ箔を使用し、輻射熱に優れた効果を発揮。グラスウール70mmに匹敵する断熱性能を持ち、夏冬の省エネに貢献。 |
| 太陽光パネルとの併用 | 輻射熱対策とスムーズな施工。 | 太陽光パネル設置前にスカイ工法(折板屋根向け特許工法)で施工することで、断熱・遮熱効果をさらに高められる。 |
| 安心・確実な施工体制 | 遮熱効果の最大限の発揮。 | 専門企業として豊富な実績と専門知識に基づき、理論に裏打ちされた確かな施工が可能。 |
| 効果の事前確認 | 導入判断の信頼性向上。 | 遮熱体感サービス(サーモグラフィーやサーマルカメラを使用)を提供し、施工前に効果を視覚的に確認できる。 |
アルミ純度が高い
遮熱シートは、アルミ純度が高いものほど遮熱性能が高くなります。弊社の遮熱シート「サーモバリア」は、アルミ純度99%の高純度アルミ箔を採用しており、輻射熱に対して優れた遮熱効果を発揮します。
JIS規格(A1420)に基づく熱実験データの精査により、サーモバリアは厚さ70mmのグラスウールに匹敵する断熱性能を有することが確認されています。
サーモバリアは熱を室内側へ反射する特性も備わっているため、冬の寒さ対策にも効果を発揮します。
正しい施工が可能
サーモバリアの適切な施工がなされていない場合、本来の遮熱効果を十分に発揮できない可能性があります。遮熱効果を最大限に引き出すためには、理論に裏打ちされた確かな知識・技術に基づく施工が必要不可欠です。
弊社はサーモバリア専門企業として、豊富な施工実績と専門知識を活かした上で、安心・確実な施工を行うことが可能です。
補助金制度を利用できる可能性も
サーモバリアは環境に優しい商品のため、自治体によっては補助金を利用できるケースも。補助金とは、国や地方公共団体が特定の政策目標の達成を目的として、事業者や個人の新たな取り組みに対し、費用の一部を支援する制度のことです。
たとえば、環境省が実施する「工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業」では、CO2排出削減を目的とした改修や設備導入に対し、補助を受けられる可能性があります。なお、補助金制度の内容・募集期間は自治体や制度ごとに異なるため、詳細については国の機関・各自治体の公式サイトをご確認ください。
参考記事:補助金とは(経済産業省)
参考記事:令和6年度 工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)の公募開始について(環境省)
まとめ

太陽光発電は、省エネ・断熱・災害や停電時の電力供給に役立つ一方で、設置費用が高額であることや遮熱効果が得られないといった課題を抱えています。その点、弊社の「サーモバリア」は、薄型の遮熱シートを貼るだけで施工できるため、手軽かつ低コストで遮熱対策を導入できます。
施工前に遮熱効果を確認したい方には、弊社独自の「遮熱体感サービス」がおすすめです。遮熱体感では、温度変化を測定し、サーモグラフィーによって温度分布を画像で可視化できるので、遮熱シートの効果を視覚的に確認できます。
さらに、Sドローンに搭載した「サーマルカメラ」の使用により、建物全体の温度分布を空撮した上で、広範囲にわたる遮熱効果の確認も行うことが可能です。
「遮熱性能の高い遮熱材を探している」「太陽光パネルと併用した遮熱対策を検討している」といった事業主様は、ぜひお気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください。