工場の業務用エアコンとは?種類・空調効率を高める方法を紹介
2025年4月2日

工場・倉庫は、作業面積が広い・天井が高いなどの構造上、空調効率の高い「業務用エアコン」を設置するケースが多いです。業務用エアコンにはさまざまな種類があり、それぞれ料金・設置方法が異なるので、目的や予算にあわせて選びましょう。
本記事では、工場で使用される業務用エアコンの種類や特徴、導入にかかる費用の相場とともに、空調効率をアップさせるための具体的な方法について詳しく解説します。
業務用エアコンとは

業務用エアコンとは、オフィス・工場のような広い空間に設置するエアコンのこと。一般的な家庭で使用される「ルームエアコン」よりも馬力が高いため、広範囲に渡って冷気・暖気を送ることが可能です。
業務用エアコンは使用する電力消費量が多いため、新設・導入する際には電源の契約を「三相電源」に変更しておくと安心です。三相電源とは、3本の線で構成された電源回路のこと。三相電源は電圧が200Vで送電効率が良いので、馬力の高い業務用エアコンにも利用できます。
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工場に設置が可能なエアコンの種類
業務用エアコンを設置する際には、工場の環境に合わせて適切なエアコンを選ぶことが大切です。本項目では、工場に設置が可能な「業務用エアコンの種類」について紹介します。
- 天井カセット型(天井埋込型)
- 天井埋込ダクト型(天井埋込型)
- 天井吊型
- 床置型
天井カセット型(天井埋込型)

天井カセット型は、エアコン本体を天井に埋め込んで設置するタイプの業務用エアコンです。天井カセット型の場合、表面に化粧パネルのみが見える設置方式を採用しており、配管類を天井裏に収めることが可能です。
一般的な「天井カセット型」のモデルの場合、4方向に吹出口が付いています。(※製品によっては、吹出口が1方向・2方向のものもあります)
4方向に吹出口がついているタイプの場合、部屋の隅々まで冷気・暖気を効率よく届けることが可能です。
天井埋込ダクト型(天井埋込型)
天井埋込ダクト型は、エアコン本体を天井内に埋め込み、吸込口と吹出口のみが表面に露出するタイプの業務用エアコンです。室内機からダクトを介してつながる吸込口・吹出口を自由に配置できるため、天井カセット型が設置しづらい「狭い空間」にも設置できます。
天井埋込ダクト型を設置する場合、天井裏に室内機やダクトを設置するスペースが必要です。
天井吊型
天井吊型は、天井から吊り下げて設置するタイプの業務用エアコンです。天井に穴を開ける必要がないため、比較的簡単に設置でき、会社や学校など幅広い場所で利用されています。
天井吊型は吹き出し口が広いため、遠くまで冷気・暖気を届けることが可能です。その一方で、天井吊型は吹出口が1方向のみであるため、柱や仕切りの多い室内の場合、部屋の隅々まで冷気・暖気を送るのが難しくなります。
床置型

床置型とは、床に置くタイプの室内機のことです。床置型は、設置するだけで簡単に利用できるため、施工費用を抑えることができます。
室内に熱がこもりやすい工場・倉庫の場合、床置型の「スポットクーラー」を使用するケースが多いです。スポットクーラーとは、屋内で取り込んだ空気を冷却し、屋外に排出する空調機器のこと。スポットクーラーの設置により、室内に熱がこもるのを抑え、室温上昇を防ぐことが可能です。
工場の業務用エアコン導入にかかる費用相場
ここでは機種別の価格帯や、設置工事費用・注意点について紹介します。
- 機種別の価格帯
- 設置工事費用と注意点
- ランニングコストと省エネ効果

機種別の価格帯
業務用エアコンの価格は、機種によって異なります。業務用エアコンの機種別における価格の目安は、主に以下のとおりです。
機種タイプ | 価格帯(税抜) | 特徴 |
---|---|---|
天井埋込型 (カセット型・ダクト型) | 160,000円〜950,000円 | 天井に埋め込むタイプで、見た目がすっきりとしている。 均一な空調効果が得られる。 |
天井吊型 | 150,000円〜950,000円 | 天井から吊り下げるタイプ。 工事費が比較的安価で済む。 |
床置型 | 150,000円〜700,000円 | 床に直接設置するタイプ。 天井工事が不要で導入がしやすい。 |
価格はこの他にも、選ぶメーカーや機能によって変動します。
設置工事費用と注意点
業務用エアコンは、本体価格の他にも取付工事にかかる費用が必要です。設置費用は、種類により相場が変動します。種類別の設置工事費用は、主に以下のとおりです。
機種タイプ | 設置工事費用(税抜) | 工事内容・特徴 |
---|---|---|
天井埋込型 (カセット型・ダクト型) | 80,000円〜210,000円 | 天井裏の作業が必要で、工事が比較的複雑 ダクト型は配管工事も必要 |
天井吊型 | 70,000円〜200,000円 | 天井への取り付け工事が必要 埋込型より比較的設置が容易 |
床置型 | 50,000円〜180,000円 | 天井工事が不要で比較的簡易な設置 配管位置によって価格が変動 |
【設置工事の注意点】
- 電源容量の確認:業務用エアコンは消費電力が大きいため、既存の電気設備が対応可能か事前確認が必要
- 配管長さ:室内機と室外機の距離が長いほど追加費用が発生
- 階数や高さ:2階以上の設置や高所作業は追加料金が発生することが多い
- 既存エアコンの撤去費用:取り替え工事の場合、既存エアコンの撤去・処分費用が別途必要
- 特殊工事:防振や防音対策、特殊な取り付け方法などが必要な場合は追加費用が発生
- 季節要因:繁忙期(夏前など)は工事費が高くなる傾向がある
ランニングコストと省エネ効果
業務用エアコンを稼働すると、ランニングコストとして電気代が発生します。ランニングコストを抑えたい場合、省エネ性能の高い新機種に買い替えるのもひとつの手段です。省エネ機能に優れたエアコンに切り替えることで、電力消費量を抑え、光熱費の軽減に繋げることが可能です。
その他には、ランニングコストのかからない業務用エアコンを選ぶ方法も。たとえば天井吊型エアコンの場合、冷気・暖気を遠くまで効率的に送り届けるパワーがあるため、エネルギー消費量を抑える働きによって、電気代を削減する効果が期待できます。
エアコンの空調効率を高める方法
エアコンの空調効率を高めるためには、工場内の暑さ対策を実施する方法がおすすめです。ここでは、エアコンの空調効率を高める方法について具体的に紹介します。
- 屋根用スプリンクラーを設置する
- 遮熱シートを屋根に施工する
- 遮熱シートを機械に施工する
屋根用スプリンクラーを設置する
工場の屋根は、日射の影響を受けやすい金属製のものが多いため、夏の暑い時期は温度が高くなってしまいがち。屋根の温度が上昇すると、こもった熱が室内に降りてくるため、室温が上昇します。室温上昇を防ぐには、屋根に熱がこもらないための対策が必要不可欠です。
屋根の熱対策には、屋根にスプリンクラーを設置する方法があります。スプリンクラーとは、水をノズルから散水する装置のことです。
屋根に水を散布すると、水の蒸発時に屋根表面から熱を奪う「気化熱」が発生します。気化熱が屋根の温度を抑える働きにより、室温の上昇を防ぎます。
遮熱シートを屋根に施工する

屋根の熱対策には、遮熱シートを施工する方法も。遮熱シートとは、輻射熱を反射する金属製アルミシートのことです。屋根に遮熱シートを施工することで、日射から発生する輻射熱(※遠赤外線によって伝わる熱のこと)を反射し、室内の温度上昇を防ぎます。
遮熱シートの施工には、弊社のスカイ工法がおすすめです。スカイ工法とは、輻射熱の反射に優れたアルミ箔を使用したスカイシートを取り付ける工法のことです。遮熱シートを屋根に直接貼り付ける工法のため、作業者の技量の優劣・作業時の天候に関係なく均一な遮熱効果を発揮します。
遮熱シートは、アルミ純度の高いものを選ぶ方法がおすすめ

遮熱シートは、アルミ純度が高いものほど効果がアップします。アルミ純度の高い遮熱シートを選ぶのであれば、アルミ純度99%以上のアルミ箔を使用した「サーモバリア」がおすすめです。
サーモバリアを工場の屋根や壁、機械などに施工することで、日射から発生する輻射熱を大幅にカットし、夏は室温上昇を防ぎます。サーモバリアは放射率が低く、物体から放出される熱を抑える(=閉じ込める)効果も。
サーモバリアを工場の屋根・壁に施工することで、冬は室内の熱が外に逃げるのを抑え、寒い時期も暖かく過ごせます。
関連記事:遮熱シートを工場に施工するメリット。具体的な施工方法も解説!
まとめ
工場で使用できる業務用エアコンの種類は、主に以下のとおりです。
- 天井カセット型(天井埋込型)
- 天井埋込ダクト型(天井埋込型)
- 天井吊型
- 床置型
室内環境を快適に保つには、業務用エアコンの他にもスプリンクラーの設置や、遮熱シートを屋根・機械などに施工する方法があります。工場の屋根・機械に遮熱シートを施工する場合、自治体によっては補助金が出るケースも。エアコンを設置する際には、自治体の公式サイトに「補助金制度」に関する情報がないか確認しておくと良いでしょう。
