
倉庫では、馬力の高い「業務用エアコン」を設置するケースが一般的です。業務用エアコンとは、オフィスや店舗、工場など、面積の広い場所に設置する空調機器のこと。業務用エアコンにはさまざまな種類があり、それぞれ設置方法や特徴が異なるため、適したものを選びましょう。
本記事では倉庫に業務用エアコンが必要である理由を紹介するとともに、おすすめの種類・選び方や効果を高める方法について紹介します。
倉庫に業務用エアコンが必要な理由とは
倉庫は建物の構造上、天井が高く面積も広いため、エアコンをつけてもなかなか室内が涼しくなりません。倉庫内が暑くなると、そこで働く従業員は暑さを感じやすくなり、体調不良や熱中症のリスクが高まります。
熱中症とは、暑さによって体内の水分や塩分のバランスが崩れ、けいれんや昏睡状態などの症状を引き起こすことを指します。従業員が熱中症になると、最悪の場合、命に関わる危険性も……。従業員の健康・命を守るためにも、建物の構造に適した暑さ対策を行うことが大切です。
業務用エアコンは、一般的な家庭で使用される室内用のものより馬力が高いため、広い倉庫の隅々まで冷気・暖気を送ることが可能です。室内の温度を快適に保つことで、従業員が暑さを感じにくくなり、体調不良や熱中症のリスクを軽減します。
関連記事:倉庫におすすめの暑さ対策とは?暑さの原因と効果的な方法を解説
倉庫の設置におすすめの業務用エアコン
天井の高い倉庫の場合、天井内に設置するタイプの業務用エアコン(※天井カセット4方向型など)は、設置やメンテナンスが難しくなるため、導入には不向きと言えるでしょう。
倉庫に業務用エアコンを導入する際には、その環境に適した機種を選ぶことが大切です。ここでは、倉庫への設置におすすめの業務用エアコンの種類について紹介します。
天井吊型

天井吊型とは、天井から吊り下げて設置するタイプの業務用エアコンのことです。倉庫に設置する際には、片側の壁際に並べて設置します。
天井吊型は壁に設置できるので、倉庫のように天井が高い室内にも設置しやすく、メンテナンスもスムーズに行えます。天井吊型は吹き出し口が広く、冷気や暖気を遠くまで届けることができるため、倉庫のように広い空間の温度管理に最適です。
床置形

空気は暖かいものほど上昇し、温度が下がると下に溜まる性質があります。天井の高い倉庫は、暖気が上部にこもりやすく、冬の寒い時期は足元が寒くなってしまいがち……。
足元の寒さ対策には、床置型の業務用エアコンを設置する方法がおすすめです。床置き型とは、その名の通り「床に置くタイプの業務用エアコン」のこと。床置型の業務用エアコンを設置することで、足元を効率よく暖めることが可能となり、そこで働く作業員の底冷え(※足元からの冷えによって、体の芯から寒さを感じること)を防ぐ効果などが期待できます。
倉庫に設置するエアコンの選び方
「業務用エアコンを設置したいが、どのように選べばよいのかわからない」
倉庫の管理担当者の中には、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。本項目では、倉庫に適した業務用エアコンの選び方について詳しく解説します。
倉庫の広さと馬力の関係
倉庫に設置する業務用エアコンに必要な馬力は、広さによって異なります。業務用エアコンの「馬力」とは、業務用エアコンの能力を表す単位のことです。倉庫の広さに対する馬力の一般的な目安は、主に以下のとおりです。
倉庫の広さ(㎡) | 馬力 |
17~26 | 1.5 |
20~29 | 1.8 |
22~32 | 2 |
24~36 | 2.3 |
業務用エアコンは、馬力が高いものほど消費電力が高くなります。倉庫に業務用エアコンを導入する際には、長期的なランニングコストを踏まえた上で広さに適した馬力のものを選びましょう。
温度調整以外の機能を確認する
昨今では、業務用エアコンに空気清浄・自動清掃などの機能が備わっているケースも増えているようです。空気清浄機能とは、空気中に浮遊する花粉、ホコリ、ウイルス、細菌などを取り除く機能のこと。
空気清浄機能を搭載した業務用エアコンを設置することで、埃対策ができるだけでなく、そこで働く作業員のアレルギー症状(※花粉症など)の軽減や、感染症を防ぐ効果も期待できます。
自動清掃機能が搭載された業務用エアコンは、自動で掃除を行うため、フィルターのメンテナンスにかかる時間や労力の削減に貢献します。これらの機能が必要であれば、業務用エアコンを選ぶ時に「温度調整以外の機能」について、一度確認しておくとよいでしょう。
予算で選ぶ
企業で予算が決まっている場合は、その範囲内で適切な業務用エアコンを選ぶ必要があります。業務用エアコンのおおよその相場は、約10万〜85万円程です。
価格は種類によっても異なり、種類別の相場は壁掛け型エアコン・床置き型エアコンは約10万〜50万円程度、天井吊り型は約20万〜70万円程度、天井埋め込み型は約25万〜85万円程度の価格帯が多いようです。
価格は業務用エアコンの種類だけでなく、メーカーや性能・機能、設置場所の条件などによっても変動します。
業務用エアコンの取付~完了までの流れ

業務用エアコンを導入する際には、まず業者のお問い合わせフォーム(電話・メールも含む)から見積もりの依頼を行います。その後、業者のスタッフが搬入経路・部屋の広さ・設置場所などを確認するために、現地調査を実施します。
現地調査を終えたら、取付工事を行う日を決めます。取付工事を行う際には、傷や汚れを防ぐために設置場所や搬入・搬出経路をシートで養生します。既存設備がある場合、フロン類の回収と既存設備の取り外し作業も行います。
既存設備を撤去したのち、新しい業務用エアコンを設置します。新規設置工事の場合は、業務用エアコンの設置後に配管工事(※冷媒配管・ドレン配管の接続など)を遂行します。
業務用エアコンの効果を高める方法
倉庫の暑さ対策には、業務用エアコンの他にもさまざまな方法があります。暑さ対策は複数の方法を組み合わせることで、その相乗効果によって「より高い効果」を得ることが可能です。本項目では、業務用エアコンの効果を最大限に高める方法について、具体的に紹介します。
スポットクーラーを設置する
エアコンの吹き出し口付近に物が置かれている場合、風の流れが遮られてしまい、十分に空気が循環しないというケースも……。風の通りにくい箇所には、冷風を局所的に送付できる「スポットクーラー」の活用がおすすめです。
スポットクーラーとは、持ち運びができる小型クーラーのこと。エアコンの風が届きにくい箇所に設置することで、効率的に冷風を送り届けることができます。
スポットクーラーには、室内の熱を屋外へ逃がす排気口が設置されおり、熱を排出する働きも。室内に設置することで、エアコンの効きもよくなるので、間接的に省エネ効果も期待できます。
シーリングファンの設置・導入

食品用の倉庫は、商品を腐らせないように「窓が少ない構造」になっているケースが多いです。窓の少ない倉庫の場合、天井に熱がこもりやすいため、空気の循環を促す「シーリングファンの設置」がおすすめです。
シーリングファンとは、天井に設置する大きな扇風機のこと。シーリングファンの設置によって、業務用エアコンから発生する冷気・暖気が隅々まで届くようになり、空調効率がアップします。
遮熱シートを屋根・壁に施工する

遮熱シートとは、輻射熱を反射する作用を持つ金属製のアルミシートのことです。輻射熱とは電磁波によって伝わる熱であり、人体の深部まで届く性質を持っています。輻射熱には体感温度を上げる作用があるため、夏の暑さ対策を行う際には「輻射熱対策」が欠かせないと言えるでしょう。
屋根・壁に遮熱シートを施工することで、夏は日射による輻射熱を反射し、室温の上昇を防ぎます。遮熱シートには、物体から放出される熱を抑える(=閉じ込める)特性もあるため、冬は室内の熱が外に放出されるのを防ぎ、寒い時期も快適に過ごせます。
倉庫の屋根に遮熱シートを施工する際には、スカイ工法がおすすめです。スカイ工法とは、遮熱シートを直接屋根に貼り付ける工法のこと。一度の施工で、熱対策と雨漏り防止の両方を実現することが可能です。
関連記事:遮熱シートとは?構造・種類・対策できる工場の課題について紹介
遮熱シートの施工なら、アルミ純度の高い「サーモバリア」がおすすめ

遮熱シートは、アルミの純度が高いものほど、遮熱性能がアップします。弊社の「サーモバリア」は、純度99%以上のアルミ箔を使用しているため、優れた遮熱効果を発揮します。
遮熱シートの効果を最大限に引き出すには、正しい理論と知識に基づいた施工を行う必要があります。弊社はサーモバリア専門の会社として「遮熱工事」に特化しており、豊富な知識と高い技術力を活かした施工が可能です。
遮熱シートには豊富な種類があり、それぞれ厚み・性能が異なるため、遮熱効果を高めるには使用目的や施工箇所に応じて適切なものを選ぶことも重要なポイントのひとつ。
弊社では、施工前に「Sドローン搭載のサーマルカメラ」を活用し、施工前後の温度状況を分析します。その結果を基に、施工箇所に適した遮熱シートの選定や、効果的な工事プランの提案を行うので、高い遮熱効果が期待できます。
まとめ
倉庫は構造上の関係で、一般的に天井吊型や床置き型の業務用エアコンを設置することが多く、それぞれ性能や特徴に違いがあります。商品によっては馬力に違いがある、もしくはより快適な室内環境を実現するために特別な機能(※空気清浄や自動清掃など)が備わっているケースもあるようです。
業務用エアコンに必要な性能・馬力・機能は、倉庫の環境や広さ、使用目的に応じて異なります。性能が優れたものほど価格が高くなるので、倉庫に設置する際には必要な性能・馬力・機能を見極めた上で、適したものを選びましょう。
