工場などの屋根は、熱伝導率(※熱の伝わりやすさを数値で表したもの)が高い「金属製の素材」を採用しています。夏の暑い時期は、直射日光の影響で屋根が高温になり、その影響で室温が上昇します。室内の室温が上昇すると、そこで働く従業員の体調が崩れるなど、さまざまなトラブルを招く恐れがあるので注意が必要です。
本記事では、室内の暑さ対策の必要性と共に、快適な作業環境を実現するために役立つ「室内向けの暑さ対策」や、効果をさらに高める方法について紹介します。
「室内の暑さ対策をしたいものの、何から手を付ければいいのかわからない……」という方は、ぜひ参考にしてください。
室内の「暑さ対策」が必要な理由

室内の温度が上昇すると、そこで働く人が暑さを感じやすくなり、モチベーションの低下・作業効率の低下を招きます。空気調和・衛生工学会の調査によると、室内の温度が25℃から26℃に上がると1.9%程度作業効率が低下し、25℃から28℃まで上昇すると作業効率は6%低下するとのことです。
さらに室内の温度が上昇すると、作業員の体調が悪化し、熱中症のリスクが高まります。熱中症とは、高温多湿な環境下で働くことにより、体温を調節する機能が上手く働かなくなり、体内に熱がこもってさまざまな症状(めまい・痙攣など)が起きることを指します。
重度の熱中症になると、命に関わる危険な状態へと進行する可能性があるため、十分な注意が必要です。従業員の健康と命を守るためにも、室内の暑さ対策は欠かせないと言えるでしょう。
参考資料:夏季オフィスの冷房に関する提言(空気調和・衛生工学会)
室内で対策可能な暑さ対策

製造業は建物の構造や、工場内で取り扱う商品の関係で、温度調節が難しいことも多く、室内が暑くなります。室内の熱対策には、暑さの原因に合わせて適した対策を投じることが大切です。ここでは、工場室内の暑さ対策に役立つ対策を紹介します。
シーリングファンを設置する
建物の構造上、天井が高くて窓が少ないため、夏の暑い時期は室内に熱がこもってしまいがち。空気の循環を促すには、天井にシーリングファンを設置する方法がおすすめです。シーリングファンとは、天井に設置する巨大扇風機のこと。
シーリングファンを設置することで、室内の空気を循環させ、室内に熱がこもるのを防ぎます。シーリングファンの設置によって冷房の効きも良くなるので、エネルギーコストを抑えることが可能となり、その結果として「省エネ効果」も期待できます。
アイスベスト(フリーザーベスト)を着用する
アイスベスト(フリーザーベスト)とは、ポケットのついたメッシュ素材のベストのことです。アイスベストには、背中・脇の下部分にポケットがあり、保冷剤を入れることが可能です。
工場内で作業する場合、アイスベストを着用することで、保冷剤の働きによって体を冷やすことができるため、夏の暑い時期も涼しく過ごせます。保冷剤は種類によって「保冷持続時間」に違いがあるため、作業環境や作業時間に適したものを選びましょう。
空調服を着用する

空調服とは、衣類の背面、腰部にファンのついた作業着のことです。空調服を着用することで、ファンから衣服の中に送風する働きによって汗を蒸発させ、夏の暑い時期も快適に作業できます。
さらに、空調服の着用によって汗がすぐ乾くようになるため、汗臭やあせもなどの「汗による皮膚トラブル」を防ぐ効果も期待できます。(※効果には個人差があります)
空調服は、襟の内側に調整紐がついており、その部分を留めることで空気の流れる量が増え、より涼しく過ごせます。
参考記事:空調服とは(株式会社 空調服)
ビニールカーテンの設置
作業員が働くスペースや、食品など「温度管理が必要な商品」を保管する区域には、ビニールカーテンを設置する方法がおすすめです。ビニールカーテンとは、工場や倉庫内を区切るために作られたアイテムのこと。(※間仕切りシートとも呼ばれています)
ビニールカーテンを工場室内に設置することで、その空間が区切られることにより、空調効率がアップします。
さらに、ビニールカーテンの設置により、冷暖房コストを抑えることが可能となり、間接的に省エネ効果も見込めます。
吸排気フードを設置する
工場に機械がある場合、機械が稼働する度に、大量の輻射熱が室内に放射されます。輻射熱とは、遠赤外線によって伝わる熱のことです。輻射熱は、室温ではなく「人体の温度」を上昇させます。そのような理由から、暑さ対策には輻射熱対策が欠かせないと言えるでしょう。
機械から発生する輻射熱対策には、吸排気フードを設置する方法もひとつの手段です。吸排気フードとは、室内の熱や空気・煙を外部へ排出すると同時に、新鮮な空気を外部から取り込むフード(換気口)のことです。
吸排気フードを室内に設置することで、機械から発生する輻射熱を吸い込み、外部に排出する働きによって、室温上昇を防ぐことができます。
遮熱シートを機械に施工する
機械の輻射熱対策には、遮熱シートを施工する方法があります。遮熱シートとは、輻射熱を反射するアルミ製のシートのことです。
乾燥炉などの大型機械に遮熱シートを施工する場合、フィット工法が適しています。フィット工法とは、遮熱シートをテント状に縫製し、機器(または乾燥炉)を覆う工法のことです。
遮熱シートをテント状に裁縫することで、大型機械をすっぽりと包みこみ、機器から発生する輻射熱を防ぎます。
関連記事:フィット工法
熱対策の効果を高める方法

工場室内の熱対策は、効果を高める方法と組み合わせることで、より高い効果を期待することが可能です。本項目では、工場室内の熱対策をさらに高める方法について、具体的に紹介します。
屋根用スプリンクラーを設置する
屋根用スプリンクラーとは、屋根に水を撒くことができる装置のことです。屋根用スプリンクラーは、屋根散水システムとも呼ばれています。
工場の屋根にスプリンクラーを設置することで、屋根にまいた水が蒸発する時に、屋根の表面から熱を奪う「気化熱」の働きによって、屋根の温度が上がるのを防ぎます。屋根の温度上昇を抑えることで、屋根から室内へ伝わる輻射熱が減少し、その結果として室温上昇を防ぎます。
空調制御システムを導入する
工場は室内が広く、天井も高いので冷房をつけても思うように涼しくなりません。「室内全体を、まんべんなく涼しくしたい」という場合であれば、空調制御システムの導入がおすすめです。
空調制御システムとは、室内の空調を監視・制御・管理できる設備のこと。遠隔管理が可能なため、工場全体の空調状況を効率的に把握した上で、室内全体を均一に涼しくすることができます。
さらに空調制御システムの導入によって、エネルギーコストの削減にも繋がるため、省エネ効果も期待できます。
遮熱シートを屋根に施工する
工場の屋根に遮熱シートを施工することで、日射による輻射熱を反射し、室温上昇を防ぎます。工場の屋根は、凹凸のある「折板屋根」を採用しているケースが多いです。
折板屋根の場合、遮熱シートを取り付ける工法「サーモバリア スカイ工法」が適しています。スカイ工法は、輻射熱の反射性能に優れたアルミ箔を使用したスカイシートを屋根に取り付ける工法のことです。
シートを直接屋根に貼り付けるため、天候に左右されず安定した遮熱効果を発揮します。さらに、折板屋根のジョイント部分をシートで覆うことが可能なため、雨漏りを防ぐ効果も期待できます。
関連記事:スカイ工法
遮熱シートを施工するなら、施工業者選びも重要なポイント

遮熱シートは、均一に貼られていない、または適切な施工が行われない場合、効果を十分に発揮できなくなるので注意が必要です。
確かな効果を得るためにも、遮熱シートを施工する際には「専門の業者」に依頼することが大切です。弊社はサーモバリア専門の会社として、正しい理論と確かな知識に基づいた施工を実施しています。
その他にも、見積もり・施工管理の提案・報告・アフターフォローなどのサポートをすべて行っているので、安心して施工を依頼することが可能です。
まとめ
工場室内の熱対策を実施することで、作業員の健康維持やモチベーションアップ、生産性の向上などに役立てることが可能です。室内の熱対策として「遮熱シート」を屋根・機械に施工する際には、投資対効果を事前に試算しておくと良いでしょう。
弊社で遮熱シートを施工する場合、施工前に遮熱効果を実際に体感できる「遮熱体感」を利用できます。遮熱体感では、サーモバリアの片面に輻射熱を照射し、施工前と施工後の違いを比較します。
遮熱シートの効果は、サーモグラフィーを活用し、遮熱シートによる温度変化を視覚的に確認できるので「効果を確認した上で、実際に施工するかどうかを検討したい」という方におすすめです。
その他にも、弊社では施工後の温度変化をより実感していただけるように「Sドローンに搭載されたサーマルカメラ」を使用して、建物の温度分布状況も確認することが可能です。
工場室内の輻射熱対策として「遮熱シート」の施工をお考えの事業主様は、ぜひ弊社のお問い合わせフォームより、お気軽にご連絡ください。
