太陽光パネルがあっても遮熱はできる?設置するメリット・デメリット・遮熱対策を紹介
2025年10月16日
太陽光パネルは、日射による輻射熱の影響により高温化することがあり、その結果として室温の上昇・発電効率の低下を招く可能性があります。
輻射熱とは、遠赤外線によって伝わる熱のことです。輻射熱は、人体の体感温度を上げるだけでなく、建材や太陽光パネルなどの設備にも影響を及ぼす恐れも……。こうした課題への有効な対策には、輻射熱を反射する遮熱対策が最適です。
本記事では、太陽光パネルの基本的な役割や設置によるメリット・デメリットを整理したうえで、輻射熱による課題とその遮熱対策について、わかりやすく解説します。
太陽光パネルとは

太陽光パネルは、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換して発電する装置のことです。太陽光パネルを構成する太陽電池は、シリコンなどの半導体でできています。半導体に太陽の光が当たると、日射強度に応じて光エネルギーを電気エネルギーに変換します。
太陽光パネルの設置には、都市計画や農地・森林、環境保全、災害防止、文化財保護などに関する法令による規制があります。設置する際には、これらの規制に十分注意しましょう。
規制については、所管する国や都道府県、市町村に確認の上、法令などを遵守してください。
参考資料:再エネ調達のための太陽光発電設備導入について(環境省)
太陽光パネルを設置するメリット
電気代の高騰、環境問題への関心が高まる中、太陽光パネルの導入が注目されています。本項目では、太陽光パネルを設置することで得られる具体的なメリットについて、わかりやすく紹介します。
省エネ効果が期待できる

太陽光パネルから発生した電力は、工場内の照明・機械設備を使用する際に利用することが可能です。
太陽の光を電力へ変換することで、外部からの電力供給に依存せずに済むため、光熱費を削減することが可能となり、その結果として「省エネ効果」が期待できます。
さらに、太陽光は自然のエネルギー源であるため、火力発電のようにCO₂(二酸化炭素)やSOx(硫黄酸化物)、NOx(窒素酸化物)といった大気汚染物質を排出しません。そのような理由から、太陽光パネルは「環境にやさしいクリーンな発電方法」としても注目されています。
参考資料:自家消費型太陽光発電設備の導入(環境省)
停電時の備えに役立つ
太陽光パネルと蓄電池を組み合わせることで、日中に発電した余剰電力を蓄え、必要なタイミングで活用することが可能です。蓄電池とは、電力を一時的に貯蔵し、夜間・停電時などに供給できる装置のことです。
工場などの大規模施設では、リチウムイオン電池に加え、NAS電池を導入しているケースが多いです。NAS電池とは、ナトリウム(Na)を負極、硫黄(S)を正極とし、ファインセラミックス製の電解質で両極を隔てる構造を持つ蓄電池(二次電池)を指します。
蓄電池の併用により、自然災害による停電時でも安定した電力供給が可能です。
参考資料: 系統強化方策及びデマンドレスポンス等の需要能動化方策の提案とその効果(環境省)
断熱効果が得られる

屋根に太陽光パネルを設置することで、直射日光が屋根材に直接当たる面積が減少するため、熱の影響を受けにくくなります。
また、パネルの厚みによって熱の伝達が抑えられるため「断熱性の向上」という副次的なメリットも期待できます。断熱とは、熱の伝わりを遅らせることです。
太陽光パネルの主な目的は発電ですが、同時に断熱効果も得られるという点は、付加的なメリットとして魅力的と言えるでしょう。
太陽光パネルを設置するデメリット
太陽光パネルの設置には、省エネ・断熱などのメリットもある一方で、デメリット面も少なからずあるので、設置の際には注意が必要です。ここでは、太陽光パネルと設置するデメリットについて紹介します。
設置コストがかかる
太陽光パネルを導入する場合、設置コストがかかります。資源エネルギー庁が2024年12月に公表している資料「太陽光発電について」によると、2024年に設置された事業用太陽光発電のシステム費用は10kW以上の平均値(単純平均)が22.6万円/kWであり、中央値は21.5万円/kWとのことです。
設置費用は、規模の大きさや設置環境、土地の活用方法など、さまざまな要因によって変動します。太陽光パネルを設置する際には、相場だけで判断するのではなく、総合的な条件を踏まえた上で検討することをおすすめします。
参考資料:太陽光発電について(資源エネルギー庁)
気温・気候の影響を受けやすい
太陽光パネルは、太陽光のエネルギーを受けることで熱を帯びるため、雨天や曇天などの天候によって発電量が左右されます。
その他にも、パネル内部に使用されている半導体(主にシリコン)は熱に弱いという特性があります。とくに現在主流のシリコン系パネルは、シリコン材料と半導体で構成されているため、高温になると電荷キャリアの移動に伴って内部抵抗が増加し、発電効率が低下します。
メンテナンスが必要
太陽光パネルは、表面に汚れやホコリ、鳥の糞、落ち葉などが付着すると、光の透過率が低下し、発電効率が落ちてしまいます。
とくに工場は、粉塵や排気ガスの影響を受けやすいため、パネル表面の定期的な清掃が欠かせません。太陽光パネル本体だけでなく、パワーコンディショナー・配線などの周辺機器も経年劣化するため、安定した運用のためには定期的なメンテナンスが必要です。
資源エネルギー庁が定める「FIT改正法」では、太陽光パネルを導入した建物に対し、定期的なメンテナンスの実施を義務付けています。
売電を継続するには、3〜4年に1回程度の点検が必要とされており、これを怠るとFIT契約が解除される可能性もあるため、導入時には十分な注意が必要です。
参考記事:屋根置き太陽光発電は「汚れ」で発電量ダウン No.41(一般社団法人新エネルギーO&M協議会)
参考記事:令和5年度改正(資源エネルギー庁)
輻射熱を反射できない

太陽光パネルには、その厚みによって外部からの熱が屋根材に直接伝わるのを緩和する「断熱」効果が期待できるものの、パネル自体に遮熱機能が備わっていないため「輻射熱」を防ぐ効果は期待できません。
むしろ、太陽光パネルが日射による熱を吸収することで屋根に熱が伝わり、結果として室内温度が上昇する可能性もあります。こうした熱の影響を抑えるためには、太陽光パネルの設置に加えて、輻射熱を反射する「遮熱対策」を併用する必要があります。
太陽光パネルの遮熱対策
輻射熱の影響を受けやすい太陽光パネルのデメリットを解消するには、屋根に遮熱対策を行う方法が有効です。本記事では、太陽光パネルの性能を維持しながら、快適な室内環境を保つための遮熱対策についてご紹介します。
屋根用スプリンクラーを設置する
屋根散水システムとは、屋根に水を撒く装置のことです。スプリンクラーで屋根に撒いた水が蒸発する時に、屋根の表面から熱を奪うこと(気化熱と言います)を利用して、屋根の表面温度が上昇するのを抑えます。
この仕組みは、太陽光パネルの冷却にも有効であり、高温によって発電効率が低下するのを防ぐ効果があります。
なお、ソーラーパネルへの散水に不純物(硬度成分・鉄分など)を含む水を使うと、パネル表面に汚れが付着し、発電効率が低下する恐れがあります。散水用の水には、不純物を除去した水を使用することをおすすめします。
遮熱塗料を塗布する
遮熱塗料とは、日射によって発生する輻射熱を反射する性質を持つ塗料です。正式名称は「高日射反射率塗料」であり、2011年に日本塗料工業会によって工業規格(JIS K5675)として制定されました。
遮熱塗料は、日射による輻射熱を反射することで、建物の壁面や屋根への熱の侵入を抑え、室内温度の上昇を軽減する効果が期待できます。(※遮熱塗料を塗る時は、太陽光パネルを設置する前に塗布してください)
参考資料:JISK5675:2011 屋根用高日射反射率塗料(日本産業規格)
遮熱シートを屋根に施工する
遮熱シートとは、輻射熱を反射する性質を持つ金属製のアルミシートです。屋根に施工することで、日射による熱の影響を軽減し、室温の上昇を抑える効果が期待できます。
遮熱シートは、太陽光パネルの設置前に施工することが可能です。両者を組み合わせることで、より高い断熱・省エネ効果が得られます。とくに工場の折板屋根には、弊社で施工が可能な「スカイ工法」がおすすめです。
スカイ工法とは、輻射熱の反射性能に優れた遮熱シートを屋根に直接貼り付ける工法のことです。太陽光パネルの設置前に導入しておくことで、スムーズな設置が可能です。
参考記事:スカイ工法
太陽光パネルの熱対策に、サーモバリアがおすすめである理由

太陽光パネルの熱対策には、遮熱性能に優れた弊社製品「サーモバリア」が最適です。ここでは、遮熱対策としてサーモバリアを推奨する理由について、詳しく解説します。
遮熱性能が高い
遮熱シートは、アルミ純度が高いものほど遮熱性能が高くなります。弊社で取り扱いを行っているサーモバリアは、アルミ純度99%の高純度アルミ箔を使用しているため、輻射熱に高い効果を発揮します。
JIS規格(A1420)に基づく熱実験から得られたデータを精査した結果、サーモバリアは厚さ70mmのグラスウールに匹敵する断熱性能を持つことが確認されています。
サーモバリアは、薄型で施工性に優れた遮熱材です。屋根・壁・床などに一枚挟むだけで、外部からの熱の侵入を効果的に抑え、季節を問わず快適な作業空間を構築できます。
専門の業者が施工する

弊社は、サーモバリア施工に特化した専門会社です。一般的な内装・外装工事業者とは異なり、サーモバリアの施工を主軸としているため、施工技術や知識もこの分野に特化しています。
サーモバリアの効果を最大限に引き出すには、適切な素材選定、施工方法、そして正しい理論に基づいた技術が必要不可欠です。弊社では、建物の構造や使用環境に応じて、最適な施工プランを提案することが可能です。
遮熱体感を利用できる
弊社で「サーモバリア」を施工する場合、事前に遮熱効果を体感できる「遮熱体感サービス」を利用できます。遮熱体感とは、サーモバリアの片面に輻射熱を照射し、施工前後の温度差をシミュレーションで実感できる体験型のデモンストレーションです。
温度変化の測定には、温度分布を画像として可視化できる「サーモグラフィー」を使用するため、遮熱シートの効果を視覚的に確認できます。
弊社では、その他にもSドローンに搭載された「サーマルカメラ」の活用によって、建物全体の温度分布を空撮し、広範囲の遮熱効果をチェックすることも可能です。
まとめ
屋根の輻射熱対策と太陽光パネルを併用することで、断熱効果と遮熱効果が相乗的に働き、室温の上昇を抑えることができます。
弊社で施工が可能なスカイ工法に使用する「スカイシート」は、平成30年2月15日に財団法人 日本建築総合試験所が実施した耐風圧試験において、高さ16メートルの屋根に設置された状態で、風速40メートルの強風にも剥がれないことが確認されました。
この試験結果から、スカイシートは台風や強風時にも高い安全性を発揮する、耐風性に優れた素材であることが証明されています。遮熱シートは耐風性のみならず、耐水性にも優れています。耐久性に優れた素材のため、長期的な遮熱対策を検討している方にもおすすめです。
弊社では、遮熱シートを施工する事業者様向けに、見積もりの作成から施工管理、報告、アフターフォローまで、一貫したサポート体制を整えているため、メンテナンスの際も安心です。太陽光パネルと併用した遮熱対策を検討中の事業主様は、ぜひお気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください。