年々厳しさを増す真夏の暑さの中で、工場や倉庫で働く方々の熱中症リスクも高まっています。2023年に政府は「熱中症対策実行計画」を策定し、職場における熱中症対策を本格化させています。
今回は、この熱中症対策実行計画の具体的な内容と、事業者が知っておくべき熱中症対策の義務とポイントについて詳しく解説します。
おすすめの熱中症対策グッズや建物の遮熱対策についても解説しますので、企業の経営者や施設の管理担当者の方はぜひ参考にしてください。
熱中症対策実行計画とは?
熱中症対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、2023年5月に熱中症対策実行計画が閣議決定されました。
これが策定された要因である近年の熱中症による死傷者数の推移と、熱中症対策実行計画の具体的な中身について解説します。
職場における熱中症による死傷者数
2023年の職場における熱中症による死傷者数は1,106人でした。そのうち死亡者数は31人に上っており、これは過去10年で最大の数です。
参照:厚生労働省HP STOP!熱中症 クールワークキャンペーン(職場における熱中症予防対策)
熱中症の増加には、夏場の気温上昇が影響しています。
都市化によるヒートアイランド現象に加えて地球温暖化の影響もあり、日中の気温が30℃を超える真夏日の日数は近年急激に上昇していることが下表から分かります。
参照:気象庁HP 大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化
従業員が熱中症にならないように、この夏の厳しい暑さの中でも安全な労働環境を維持するのが事業者の義務ですが、それを維持することのハードルは年々高くなっているといえるでしょう。
熱中症対策実行計画の概要
熱中症対策実行計画では2030年までの中期目標として、熱中症による死亡者数を現状から半減することを目指しています。
熱中症対策実行計画では、熱中症対策における事業者の基本的な役割を次のように示しています。
- 自らの事業活動を行うに際して、国民や消費者等における熱中症予防につながる活動を行うよう努める
- 事業活動に従事する労働者の熱中症を防止するため、必要な措置を講じる
- 国および地方公共団体が実施する熱中症に関する施策に協力し、連携するよう努める
事業者が講じるべき具体的な熱中症対策
「職場における熱中症予防基本対策要綱」では、事業者の実施すべき具体的な熱中症対策として次の5つを挙げています。
- 作業環境管理
- 作業管理
- 健康管理
- 労働衛生教育
- 救急処置
事業者が講じるべき熱中症対策①作業環境管理
まずは、作業環境の気温や湿度がどのようになっているかを計測することが重要です。
気温と湿度の組み合わせで熱中症の危険を判定する、「暑さ指数(WBGT)が一目で分かるようにするとよいでしょう。
その上で、作業場所のWBGT値を定期的に測定して適切な対策を講じるようにすべきです。
WBGT(暑さ指数)についてはこちらの記事も参考にしてください。
工場の熱中症対策とは?遮熱シートを導入して熱中症対策!
WBGT値が警戒値以上になってしまう場合は、環境改善対策として大型扇風機や気化式冷風機などの冷却設備の導入が考えられます。
また、建物の遮熱性能を高めて室内での輻射熱の発生を抑えることも効果的です。
それに加え、冷水器や冷たいおしぼりなどを気軽に利用できるような冷房の効いた休憩スペースを確保することも重要でしょう。
事業者が講じるべき熱中症対策②作業管理
日中の暑い時間帯を避けて作業スケジュールを組むことも有効です。
スケジュールのシフトが難しくても、暑さ指数によって作業強度を調整したり徐々に環境に順応させる等の配慮は必要でしょう。
通気性の悪い作業着を着たときは暑さ指数に補正値を加えなければなりませんので、作業の際の服装の見直しも重要です。
熱を逃がしにくい服装は避けて、透湿性と通気性の良い服装を着用させるようにしましょう。冷却ベストや冷却タオルなどを従業員に配布することも有効です。
事業者が講じるべき熱中症対策③健康管理
健康診断を適宜実施して、熱中症リスクの高い従業員を把握しておきましょう。
当日の体調によっては熱中症の危険が各段に高まりますので、作業開始前に従業員の体調を確認するチェック体制も構築すべきです。
事業者が講じるべき熱中症対策④労働衛生教育
従業員に熱中症の症状と予防法、応急処置について教育する機会を設けましょう。
また、作業場ごとに熱中症対策責任者を選任し、対策の状況を管理し指導するようにします。
事業者が講じるべき熱中症対策⑤救急処置
熱中症が発生した時に慌てないように、事業所の報告・連絡体制を確立する必要があります。
救急搬送の連絡が第一ですが、到着までの一次手当ができるようにマニュアルを常備し、定期的な読み合わせと訓練を実行しましょう。
工場や倉庫の熱中症対策
空間が広く空調が効きづらい工場や倉庫での作業には、熱中症の危険が常に伴います。
効果的な熱中症対策としては、着衣や冷感グッズ等で労働者の体温を直接下げる方法と、建物内の気温を下げて輻射熱の発生を押さえ、作業環境を改善する方法の二つの考え方があります。
労働者に対する対策
工場や倉庫の熱中症対策は労働者個人レベルでも可能です。
空調服の着用や冷却タオルやベストなどを従業員に提供して、個人レベルで体温管理を可能にします。
【労働者に対する対策例】
- 空調服
- ネッククーラー
- 冷却タオル
- 冷却ベスト
- クールスプレー
建物に対する対策
作業エリアの空調能力が不足している場合は空調の増設や入れ替えを検討するべきでしょう。
しかし、更新には一定の投資費用も掛かりますし、そもそも空調が無いケースもあります。その場合にはスポットクーラーや大型扇風機を設置して、局所的にでも体感気温を下げる工夫が必要です。
遮熱シートを施工して建物に入る熱そのものをシャットアウトする方法もあり、設備での対策よりも効果が大きいケースもあります。
【建物に対する対策例】
- 空調の入れ替え
- スポットクーラーの設置
- 大型扇風機の設置
- 遮熱シートの施工
工場の熱中症対策には「サーモバリア」による遮熱施工が効果的
工場の熱中症対策のひとつとして、遮熱シート「サーモバリア」の施工を検討してみてはいかがでしょうか。
サーモバリアは純度99%以上のアルミ箔を使用した遮熱シートで、輻射熱を97%カットする極めて高い性能を誇ります。
工場建物の内外装材や断熱材が抱え込んだ熱気は、日が沈んでもジワジワと輻射熱を発生させ、工場内の暑さ指数(WBGT)を上昇させます。そこで、サーモバリアを工場の屋根や壁に施工すると太陽の輻射熱を大幅にカットし、工場内の暑さ指数(WBGT)の上昇を抑えることができます。空調設備の効率が向上する効果も期待できるため、大幅な省エネも実現できる可能性があります。
また、工場内に熱を発生する電気炉や加熱設備などがある場合も輻射熱が発生して暑さ指数(WBGT)を押し上げてしまいます。熱の発生源となる機械をサーモバリアで覆ったり、カーテンのように空間を遮断することによって大幅な遮熱効果が得られるでしょう。
工場の熱中症対策で労災リスクを回避し生産性を向上!
本記事では工場内の熱中症対策について解説してきました。工場の熱中症対策は、従業員の健康を守り労働災害を防ぐだけでなく、工場内を快適な環境にして生産効率を上げる武器にもなります。
暑さ指数(WBGT)を用いた環境管理と、輻射熱の発生を抑える遮熱シート「サーモバリア」の組み合わせをぜひお試しください。SUNUPでは、お客様の建物や立地状況に合わせて最適なサーモバリアの施工方法をご提案いたします。
SUNUPでは愛知県内全域の工場を対象に、実際に熱を当ててサーモバリアの効果を確認いただける「遮熱体感」を実施しています。24時間専用フォームにて受付を行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。