輻射熱とは?輻射熱対策が必要な理由・対策について紹介
2025年3月10日

輻射熱は、熱線(電磁波)が何らかの物体に当たった際に熱が発生します。輻射熱は人体の体感温度を上昇させる性質があるため、室内の暑さ・室温上昇を防ぐには、輻射熱対策が欠かせないと言えるでしょう。
本記事では熱の伝わり方を踏まえた上で、工場で輻射熱対策が必要な理由・具体的な輻射熱対策について詳しく解説します。
輻射熱とは

輻射熱とは、遠赤外線などの熱線によって伝わる熱のことです。輻射熱には太陽から発生するものから、機械(乾燥炉・焼成炉など)から放出される熱も含まれます。
輻射熱は、熱線(電磁波)が何らかの物体に当たった際に熱が発生します。輻射熱は人体の体感温度を上昇させる性質があるため、室内の暑さ・室温上昇を防ぐには、輻射熱対策が欠かせないと言えるでしょう。
輻射熱を正しく理解するために、まずは「熱移動(熱の伝わり方)」の種類とともに、工場で輻射熱が発生しやすい理由について説明します。
遮熱シートの構造と材質
遮熱シートとは、アルミ素材を使用して作られたシートのことです。表面のアルミ箔によって、熱の元となる電磁波を反射し、輻射熱の伝わりを防ぎます。
遮熱シートは種類によって、厚み・構造に違いがあります。遮熱シートは層が厚いものほど輻射熱を反射する作用がアップするので、「より効果を高めたい」という場合であれば層の厚いシートを選びましょう。
熱移動には3つの種類がある
熱移動(熱の伝わり方)には3種類あり、それぞれの意味・建物内の熱移動の割合は以下のとおりです。
湯たんぽ型の伝導熱……5%
エアコン型の対流熱……20%
電気ストーブ型の輻射熱……75%
伝導熱とは、固体・流体・気体などの物質によって伝わる熱のこと。対流熱は、エアコン、温風ヒーターのように、風や空気で伝わる熱のことです。3つの熱移動のうち、建物内の熱移動の大半が輻射熱であることから、輻射熱をコントロールすることが建物内の熱対策で最も重要なことが分かります。
工場で輻射熱が発生する理由
工場の屋根・壁は、熱伝導率の高い金属製の素材を使用しているケースが多いです。熱の伝わりやすい金属製の屋根・壁の場合、輻射熱の影響で表面温度が高くなり、そこで温められた熱が屋内に伝わると、室内の温度が上昇します。
工場には、輻射熱を発生する機械が設置されていることも少なくありません。とくに大型の焼成炉・乾燥炉が工場内に設置されている、もしくは鉄鋼などを取り扱う工場の場合、機械から高温の輻射熱が発生し、そこで働く人が暑さを感じやすくなります。
このように、工場は屋根・壁・機械から伝わる輻射熱の影響によって、室内が暑くなります。
工場に輻射熱対策が必要な理由

工場の輻射熱対策を行わないままだと、そこで働く従業員の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、設備や製品の品質にも影響を与える可能性があります。ここでは、工場で輻射熱対策が必要な理由について詳しく解説します。
- 社員の暑さ・熱中症対策
- 光熱費がかかる
- 生産性の低下
- 火災の原因になる可能性も
社員の暑さ・熱中症対策
工場の温度が上昇すると、そこで働く社員が暑さを感じやすくなります。とくに輻射熱は、遠赤外線によって体の奥まで伝わる性質があるので、より暑さを感じてしまうことも……。
温度が上昇すると、そこで働く従業員の体調不良、もしくは熱中症になるリスクが高くなります。熱中症とは、体温の上昇によって体内の水分・塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かなくなってしまう症状のことです。熱中症になると、めまい・けいれん・頭痛などの症状が起こります。

厚生労働省による「令和4年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(令和5年1月13日時点)」によると、職場での熱中症による死亡者及び休業4日以上の業務上疾病者の数(以下合わせて「死傷者数」という。)は、令和4年の死傷者数は 805 人、うち死亡者数は 28 人とのこと。
夏の暑い時期には、多くの方が業務中に熱中症を発症し、最悪の場合は死に至るケースもあるようです。従業員の体調不良・熱中症を防ぐためにも、工場内の輻射熱対策は重要と言えるでしょう。
参考資料:令和4年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(令和5年1月13日時点)(厚生労働省)
光熱費がかかる

工場では、従業員が快適に作業できるようにと、エアコンを使用しているケースも多いです。ところが屋根・壁・機械から発生する輻射熱の影響を受けてしまうと、室内が暑くなってしまうため、エアコンをつけても思うような効果が発揮されません。
工場内の空調効率を高めるには、遮熱塗料・遮熱シートなどの輻射熱対策を行って快適な室温に保つことが大切です。
従業員のモチベーション・生産性の低下
工場内の温度が高くなると、従業員の集中力やモチベーションが低下する恐れがあります。従業員のやる気や働く意欲が失われると、生産性の低下にもつながります。その他にも、工場内の温度が熱い状態が続くと、熱の影響によって機器、商品にトラブルが起こってしまうことも考えられます。
このようなトラブルを防ぐ、または工場全体の運営効率を維持するためにも、適切な暑さ対策が重要です。
火災の原因になる可能性も
輻射熱には、温度の高い物体から低い物体へと電磁波によって伝わる性質があります。その熱が燃えやすいものに温度が移動することで、出火に繋がる恐れがあるので注意が必要です。
たとえば電気ストーブの場合、そこから発生する輻射熱が周りのものに移動すると、出火する可能性があります。火災を防ぐためにも、輻射熱を発生する機械の近くに燃えやすい物を置かないようにする、または輻射熱を抑えるための対策が必要です。
工場で対策が可能な輻射熱対策
輻射熱対策にはさまざまな方法がありますが、広範囲の対策が必要な工場の場合、業者に依頼する方法がおすすめです。ここでは、工場で対策が可能な輻射熱対策について紹介します。

遮熱塗料を施工する
工場の屋根に遮熱塗料を施工することで、日射による輻射熱を反射し、夏の暑さや熱中症、冬の寒さを防ぐ効果が期待できます。遮熱塗料とは、輻射熱を反射する効果をもつ塗料のことです。
遮熱塗料は、太陽光の中でも近赤外線と呼ばれる生物が暖かさを感じる光を反射する機能があります。近赤外線を反射する作用により、屋根に熱がこもるのを抑える働きがあります。遮熱塗料は素材によって、以下のようにさまざまな種類があります。種類とそれぞれの耐用年数は、主に以下のとおりです。
種類 | 耐用年数 | 価格帯 | 特徴 |
---|---|---|---|
アクリル系 | 約6年 | 低 | コストは安いが耐久性に劣る。定期的な塗り替えが必要 |
ウレタン系 | 8〜10年 | 中 | 耐久性と価格のバランスが良く、一般的に広く使用されている |
シリコン系 | 10〜15年 | 中〜高 | 耐候性に優れ、汚れにくい特性を持つ |
フッ素系 | 15〜20年以上 | 高 | 最も高い耐久性を持ち、長期にわたって性能を維持できる |
耐用年数が短い塗料の方が性能は低く、短い期間で塗り直しを行わなければなりません。塗り直しの回数を減らしたい場合は、耐用年数の長い塗料を使用しましょう。
遮熱シートを屋根に施工する
工場内の温度上昇を抑えるには、屋根からの輻射熱対策が重要です。高純度アルミ素材を使用した遮熱シートは、太陽光を効率よく反射し室温の上昇を防ぎます。
工場に多く見られる折板屋根には「サーモバリア スカイ工法」が適しています。この工法は屋根に直接シートを貼り付けるため、施工者の技量や天候に左右されず、均一な遮熱効果を発揮します。また、折板のジョイント部分もカバーするため、付加的な雨漏り防止効果も期待できます。

耐久性の高い両面テープを使用しているため、強風でもシートが剥がれにくく、約10年の長期使用が可能です。施工期間も短く、25㎡なら半日、2000㎡でも約1ヶ月で完了します。
関連記事:スカイ工法
遮熱シートを屋根下に施工する
近年ではSDGSへの取り組みなどを理由に、屋根に太陽光発電(ソーラーパネル)を設置している工場も増えています。屋根にソーラーパネルが設置されている場合、遮熱塗料や遮熱シートの施工が難しくなる恐れも……。

そのような場合は、屋根の下に遮熱シートを施工する「屋根下折半工法」がおすすめです。屋根下折半工法とは、折板屋根の下に軽量鉄骨で下地を組み、その下にサーモバリアS(不燃認定品)をタッピングビスで軽量鉄骨の下地に取付ける工法のこと。(※高所作業もしくはローリング足場の設置が条件となります)
遮熱シートを壁に施工する
工場の壁は、薄い金属製の素材が使用されることが多いです。金属は熱伝導率が高いので太陽の熱を吸収しやすく、表面温度が高くなってしまいがち。
壁にこもった熱は工場内に伝わり、室温が上昇します。夏の暑い時期に室温が上昇すると、労働環境が悪化し、従業員の体調不良・集中力低下や熱中症などの症状を引き起こしてしまう恐れも……。
これらの問題を解決するためには、遮熱シートを壁に施工する方法が効果的です。遮熱シートを壁に施工することで、日射による輻射熱の影響を大幅に軽減し、工場内の温度上昇を抑えることができます。サーモバリアは既存の建物にも後付けで施工できるので、手軽に導入することが可能です。
遮熱シートを機械に施工する
工場内の乾燥炉など高温設備から発生する輻射熱は、室温上昇の大きな原因となります。この対策として効果的なのが、機械設備への遮熱シート施工です。
特に大型機械には「フィット工法」が最適です。この工法では、国土交通省認定の不燃材料を使用した特殊な遮熱シートをテント状に縫製し、機械全体を包み込みます。不燃シートはガラスクロス繊維と特殊樹脂、両面アルミ箔で構成され、一定時間の耐火性能を持ちます。
フィット工法の効果は温度低減だけではありません。ある溶鉱炉への施工事例では、輻射熱の大幅削減により機械の稼働率が向上し、生産量が13%増加した実績もあります。高温機器からの熱を効果的に遮断することで、作業環境の改善と生産性向上を同時に実現します。
関連記事:フィット工法
遮熱シートの効果を最大化するポイント
遮熱シートの効果を高めるには、シートの素材選びも重要なポイントのひとつ。ここでは、遮熱シートの導入効果を最大化するポイントについて紹介します。
- アルミ純度が高いものを選ぶ
- 期待できる効果を把握する
アルミ純度が高いものを選ぶ

遮熱シートはアルミ純度が高いものほど、性能がアップします。「高い遮熱効果を求めている」という場合であれば、高純度なアルミ箔を使用したサーモバリアの施工がおすすめです。
サーモバリアは、アルミ純度99%以上のアルミ箔を使用した遮熱シートのこと。遮熱シートの「サーモバリア」は輻射熱の反射率が97%と、反射性能に優れています。サーモバリアを工場の屋根・壁・機械などに施工することで、輻射熱を大幅に削減し、夏の暑い時期も涼しく過ごせます。
サーモバリアは放射率が低く、物体から放出される熱を抑える(=閉じ込める)特性も。サーモバリアを工場に施工することで、室内の熱が外に逃げるのを防ぎ、寒い時期も暖かく過ごせます。
期待できる効果を把握する
遮熱シートは輻射熱に特化した対策であるため、対流熱や伝導熱が主因の場合は効果が限定的です。そのため株式会社SUNUPでは、施工前に効果を確認できる「遮熱体感」サービスを愛知県内全域の工場向けに提供しています。
この体感サービスでは、サーモグラフィーを用いて温度変化を可視化。実際の使用環境を模した条件下で、遮熱シート施工前後の温度差をリアルタイムで確認できます。さらに施工後には、ドローン搭載のサーマルカメラで建物全体の温度分布を測定し、効果の検証も可能です。
シミュレーションから実測まで一貫したデータ提供により、導入効果を客観的に判断できるのが株式会社SUNUPの強みです。
まとめ
工場に輻射熱対策を行う場合、おすすめの方法は以下のとおりです。
- 遮熱塗料を施工する
- 遮熱シートを屋根に施工する
- 遮熱シートを壁に施工する
- 遮熱シートを機械に施工する
工場に遮熱塗料・遮熱シートを施工することで、快適な室温に保つことが可能となり、年中快適に過ごせる労働環境の改善に役立ちます。さらに遮熱対策によって空調効率がアップし、光熱費も大幅に削減することが可能です。
サーモバリアには多くの種類があり、それぞれに構造・特徴が異なるので、施工箇所や目的に適した製品を選びましょう。たとえば二重のエアーキャップと両面アルミ箔からなる遮熱シート「サーモバリアW」であれば、冬の暖房から発生する輻射熱を跳ね返す「内反射施工」もできるので、「夏の暑さ・冬の寒さを防ぎたい」という方におすすめです。

株式会社SUNUPでは遮熱シートの施工・電力や室温の変化検証の他にも、見積もり・施工管理の提案・報告・アフターフォローなどのサポートを一気通貫で行っています。工場の暑さ対策にお悩みの際は、SUNUPのお問い合わせフォームより、ぜひ一度ご連絡ください。