断熱塗料とは?得られる効果と遮熱シートとの比較
2025年3月10日

近年、省エネ意識の高まりから建物の温度対策が注目されています。断熱塗料と遮熱シートはどちらも効果的な対策ですが、それぞれ特性や適した用途が異なります。本記事では両者を徹底比較し、建物に最適な温度対策を選ぶための情報を解説します。
断熱塗料とは?

断熱塗料とは、熱の移動を抑制する効果を持つ特殊な塗料です。通常の塗料に断熱性能を持つ素材(セラミックビーズや中空ガラスビーズなど)を混ぜ込むことで、熱伝導を遮断する機能を持たせています。塗膜内部の微細な空気層が熱の移動を妨げ、建物内部の温度を安定させる効果があります。
市場に出回る主な断熱塗料の種類
市場には様々な種類の断熱塗料が出回っています。水性タイプと溶剤タイプ、外壁用と屋根用、さらに用途別の特化型など多様な製品があります。主成分によって「セラミック系」「ガラス系」「アクリル系」などに分類され、それぞれ断熱性能や耐候性、価格帯が異なるため、用途に応じた選択が重要です。
断熱塗料に含まれる素材と特性
断熱塗料の性能を左右する主な素材は、セラミックビーズ、中空ガラスビーズ、特殊顔料などです。これらが塗膜内で熱を反射・分散させる働きをします。また近年では、赤外線を反射する特殊顔料を配合した製品も増えており、断熱と遮熱の両方の機能を持たせた「ハイブリッド型」の塗料も登場しています。
断熱塗料で得られる効果とは?
断熱塗料を施工することで得られる主な効果は、室内温度の安定化、冷暖房効率の向上、結露防止、建物保護の4つです。
しかし、これらの効果には限界もあり、過度な期待は禁物です。建物の構造や環境条件によっても効果は大きく変わるため、現実的な効果を理解した上で導入を検討することが重要です。
- 室内温度の安定化
- 冷暖房効率の向上
- 結露防止
- 建物保護
室内温度の安定化と快適性向上

断熱塗料の最大の効果は室内温度の安定化です。夏は外部からの熱の侵入を抑え、冬は室内の熱が逃げるのを防ぎます。特に天井や屋根に施工した場合、直射日光による室温上昇を3~5℃程度抑制する効果があるとされています。ただし、効果の程度は塗料の種類や施工箇所、建物の構造によって大きく異なります。
冷暖房効率の改善による省エネ効果
断熱塗料により室内温度が安定すると、冷暖房の効率が向上します。エアコンの設定温度を夏は高め、冬は低めに調整できるため、電気代の削減につながります。実証実験では、断熱塗料の施工により冷暖房費が10~20%削減された例もありますが、建物の断熱性能や使用状況によって効果は変動します。
防音・結露防止の副次的効果
断熱塗料には熱対策以外にも、防音効果や結露防止効果があります。塗膜が振動を吸収することで防音性が高まり、表面温度が安定することで結露の発生を抑制します。特に北側の壁や窓周りなど結露が発生しやすい箇所への施工は、カビやダニの発生防止にも役立ちます。これらの副次的効果も断熱塗料の魅力の一つです。
建物の劣化防止と耐久性向上
断熱塗料の施工により、紫外線や熱による建材の劣化を防ぐ効果も期待できます。特に金属屋根では表面温度が70℃以上に上昇することもありますが、断熱塗料で20~30℃低減させることで、熱膨張による歪みや劣化を抑制します。結果として建物の耐久性向上とメンテナンスコスト削減につながります。
断熱塗料には弱点もある

断熱塗料にはメリットがある一方で、いくつかの弱点や実用上の課題も存在します。費用対効果、実際の性能、耐久性、施工技術による効果の差などを正しく理解することが、適切な導入判断につながります。
費用対効果の問題点
断熱塗料の導入コストは一般塗料の1.5~3倍程度と高額です。一般的な外壁用塗料が平米あたり1,000~1,500円程度なのに対し、断熱塗料は2,000~4,000円になることも珍しくありません。この初期投資を省エネ効果でどれだけ回収できるかが課題で、効果が限定的な場合、投資回収に10年以上かかるケースもあります。
実際の断熱性能と宣伝効果の乖離
断熱塗料の中には、実際の性能と宣伝効果に乖離があるものも存在します。JIS規格などの客観的な性能評価を受けていない製品も多く、メーカー独自の試験結果のみを根拠に過大な効果を謳っているケースがあります。購入前には第三者機関による評価データや実績を確認することが重要です。
耐候性と経年劣化による性能低下
断熱塗料も経年劣化により性能が低下します。紫外線や雨風にさらされることで徐々に断熱効果が減少し、一般的に5~10年程度で再塗装が必要になります。特に低価格帯の製品では劣化が早いことがあり、長期的な視点では再塗装費用も含めたトータルコストを考慮する必要があります。
施工技術による効果の差
断熱塗料の効果は施工品質に大きく左右されます。適切な下地処理や塗布厚さの確保、乾燥時間の管理など、専門的な技術が求められます。特に推奨される塗布厚さを確保できないと断熱効果が大幅に低下するため、経験豊富な業者による施工が不可欠です。DIYでの施工は効果が限定的になるリスクがあります。
断熱塗料と遮熱塗料の違いは?

熱は「伝導」「対流」「輻射」の3つの経路で伝わります。断熱塗料は主に熱伝導を抑制する効果があり、塗膜内部の微細な空気層が熱の移動を妨げます。一方、遮熱塗料は主に輻射熱を反射する特殊顔料を含み、太陽光からの熱を反射して建物内部への熱侵入を防ぎます。用途に応じて適切な方式を選ぶことが重要です。
【参考】環境技術実証事業広報資料
夏と冬の効果の違い
遮熱塗料は夏の暑さ対策に優れていますが、冬は太陽熱も反射してしまうため、寒冷地では逆効果になる可能性があります。一方、断熱塗料は年間を通じて効果を発揮し、夏は熱の侵入を、冬は熱の流出を抑制します。気候条件や建物の使用状況に応じた選択が必要です。
用途別の最適な選択方法
建物の種類や地域の気候によって最適な塗料は異なります。
高温多湿の地域では遮熱効果の高い塗料が、寒冷地では断熱性能に優れた塗料が適しています。また、工場や倉庫など広い面積の屋根には遮熱性能が重視され、住宅の外壁には断熱性能と美観のバランスが求められるなど、用途に応じた選択が効果を最大化します。
断熱塗料と遮熱シートの比較
断熱塗料と遮熱シートは、どちらも建物の温度対策として有効ですが、性能特性や適した用途が異なります。一般的に遮熱シートは輻射熱対策として即効性が高く、断熱塗料は年間を通じた温度安定化に優れています。ここでは実測データをもとに両者を客観的に比較し、それぞれの特性について解説します。
比較項目 | 断熱塗料 | 遮熱シート(サーモバリア等) |
---|---|---|
対応する熱の種類 | 主に熱伝導を抑制 輻射熱への効果は限定的 | 主に輻射熱を反射 太陽光の約97%反射可能 |
温度低減効果 | 表面温度:10~15℃低減 室内温度:2~5℃低減 | 表面温度:最大30℃以上低減 室内温度:5~8℃低減 |
季節による効果 | 年間を通じて効果あり 夏は熱侵入抑制、冬は熱流出抑制 | 夏季の効果が高い 寒冷地の冬季は効果が限定的な場合も |
初期コスト | 一般的に安価 2,000~4,000円/㎡ | やや高価 3,000~6,000円/㎡ |
耐用年数 | 5~10年 定期的な再塗装が必要 | 10~15年 メンテナンス頻度が少ない |
長期コスト | 再塗装費用を含めると 長期的には高コストになりがち | 初期投資は高いが長期的には経済的 3~5年で投資回収可能なケースが多い |
施工の容易さ | 既存の塗装工程と同様に施工可能 建物形状に関わらず対応可能 | 専用の固定具や接着剤での施工が必要 複雑な形状には不向き |
施工品質の安定性 | 施工者の技術に大きく左右される 塗布厚さが不足すると効果が低下 | 製品品質が安定しており、施工者による差が少ない |
適した建物用途 | 住宅外壁 見た目を重視する建物 寒冷地の建物 | 工場・倉庫などの大型建築物 金属屋根の建物 暑熱地域の建物 |
温度低減効果の実測データ比較
実測データでは、高性能な遮熱シートは断熱塗料よりも優れた温度低減効果を示すことが多いです。
高純度アルミ箔を使用した遮熱シートは太陽光の約97%を反射し、屋根表面温度を最大30℃以上低減できます。一方、断熱塗料の温度低減効果は一般的に10~15℃程度であり、輻射熱の多い環境では遮熱シートの方が即効性の高い効果を発揮します。

耐用年数と長期的なコストパフォーマンス
断熱塗料の耐用年数は塗料の種類によって異なりますが、一般的に5~10年程度で再塗装が必要になります。対して高品質な遮熱シートは10~15年の耐久性を持ち、長期的なコストパフォーマンスで優位性があります。
初期投資は遮熱シートの方が高い傾向にありますが、メンテナンス頻度や効果の持続性を考慮すると、総合的なコスト効率は遮熱シートが上回るケースが多いです。
施工方法と建物への負荷の違い
断熱塗料は既存の塗装工程と同様に施工でき、建物への追加的な負荷が少ないメリットがあります。一方、遮熱シートは専用の固定具や接着剤での施工が必要で、屋根材によっては追加の下地処理が必要なケースもあります。ただし遮熱シートは施工後の品質のばらつきが少なく、塗料のように施工者の技術に大きく左右されない利点があります。
まとめ
建物の用途や地域性、予算、期待する効果によって最適な選択は変わります。特に工場や倉庫など大型施設では、屋根面積が広く輻射熱の影響も大きいため、高性能遮熱シートであるサーモバリアの優位性が高くなります。導入効果を最大化するためには、建物の特性を考慮した適材適所の対策と、信頼できる施工業者の選定が重要です。
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株式会社SUNUPでは、サーモバリアの効果を実際に体感していただくために、愛知県内全域の工場を対象に遮熱体感の実施を行っています。
遮熱体感とは、サーモバリアの片面に輻射熱を照射して「施工前・施工後」の違いを見比べる方法のことです。遮熱効果はサーモグラフィーを使用して、施工前・施工後の温度の違いを確認していただきます。

遮熱シートの施工・電力や室温の変化検証の他にも、見積もり・施工管理の提案・報告・アフターフォローなどのサポートを一気通貫で行っています。夏の暑さ対策でお困りの方は、24時