遮熱シートを施工するメリットとは?施工方法や得られる効果について解説
2025年4月2日

遮熱シートは、工場の屋根・機械に施工することで、作業環境を快適に保つメリットもある一方で、デメリットも少なからず存在します。遮熱シートを施工する際には、のちのち後悔しないためにもデメリット・施工時の注意点についても把握しておくと良いでしょう。
本記事では、遮熱シートを導入することで得られるメリットや、注意しておきたいデメリットの他にも、他の暑さ対策の比較・費用相場・種類・工法について詳しく解説します。
遮熱シートとは

遮熱シートとは、アルミ素材で作られた輻射熱(※遠赤外線によって伝わる熱のこと)を反射するシートのことです。遮熱シートの特徴は、主に以下のとおりです。
- 層構造……一般的に複数の層で構成され、層が厚いものほど効果がアップします。
- 軽量……軽量で薄いので、建物への負荷が少ないです。
- 施工性に優れている……薄くて軽いため、さまざまな箇所(建物の屋根・壁・機械設備など)に施工が可能です。
遮熱シートを建物に施工することで、人体の体感温度を上げる作用をもつ輻射熱を反射します。
参考記事:遮熱シートとは?構造・種類・対策できる工場の課題について紹介(株式会社SUNUP)
遮熱シートを施工するメリット
工場の屋根・機械に遮熱シートを施工することで、さまざまな効果を発揮します。ここでは、工場に遮熱シートを施工するメリットについて具体的に紹介します。
- 遮熱効果で暑さ・寒さを防ぐ
- 光熱費を抑え、省エネ効果が見込める
- 在庫商品・機械の劣化防止に役立つ
遮熱効果で暑さ・寒さを防ぐ

工場は、日射や機械から発生する輻射熱の影響によって、夏は室温が上昇します。遮熱シートを屋根・機械へ施工することで、夏の暑さの原因となる輻射熱を反射し、室温上昇を防ぎます。
遮熱シートの素材である「アルミ箔」は放射率が低く、物体から放出される熱を抑える(=閉じ込める)効果も。遮熱シートを屋根・壁へ施工することで、熱を室内側へ反射させ、冬の寒い時期も快適に過ごせます。
光熱費を抑え、省エネ効果が見込める
遮熱シートを屋根・壁などに施工することで、室外から伝わる外気温の影響を受けにくくなり、室内の温度を一定に保ちます。室内の温度を安定させることで、エネルギーの使用量を減らす働きによって、冷暖房の消費電力を抑えることが可能です。
遮熱シートは施工によって「省エネ効果」が期待できるので、自社内の節電を目指している、または持続可能な開発目標(SDGs)(※目標7の「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」に該当するため)に取り組んでいる企業様にもおすすめです。
参考記事:エネルギーをみんなに。そしてクリーンに(日本ユニセフ協会)
在庫商品・機械の劣化防止に役立つ

工場、倉庫内で保管されている商品によっては、暑さで劣化が進むものも少なくありません。遮熱シートを工場・倉庫の屋根・壁に施工することで、室内に熱がこもるのを防ぎ、在庫商品の劣化を防ぎます。さらに機械へ遮熱シートを施工することで、機械の温度上昇を防ぐ効果によって、故障リスク・劣化を抑えます。
参考記事:遮熱シートのメリットとデメリット|デメリットを解決する方法も徹底解説!(サーモバリア)
遮熱シートを施工するデメリット
ここでは、遮熱シートを施工するデメリットについて紹介します。
- 対流熱や伝導熱を防げない
- 結露が発生する恐れも
- 高所作業のため、業者への依頼が必要
- 定期的なメンテナンスが必要
対流熱や伝導熱を防げない
熱の伝わり方には輻射熱の他に、固体・流体・気体などの物質によって伝わる湯たんぽ型の「伝導熱」、気体や液体が移動した際に発生するエアコン型の「対流熱」があります。
遮熱シートは輻射熱のみに反応するため、伝導熱と対流熱を防ぐことはできません。遮熱シートで防げない伝導熱・対流熱は、断熱材を使用することで防ぐことが可能です。
結露が発生する恐れも
遮熱シートが冷えた状態のまま、室内の湿った空気に触れてしまうと結露が発生するので注意が必要です。結露とは、室内の空気中に含まれる水蒸気が、外気との温度差によって水滴に変わる現象のことです。結露を防ぐ方法は、主に以下のとおりです。
- 防水紙の外側に遮熱シートを施工する
- 防湿層の施工
防水紙の外側へ遮熱シートを施工する、または防湿層を施工することで、室内の空気と遮熱シートが触れずに済み、結露の発生を抑えます。
参考記事:結露の予防方法(サーモバリア)
高所作業のため、業者への依頼が必要
厚生労働省は、労働安全衛生法の中で「高さが2メートルを超える場所で作業を行う場合、労働者の墜落を防ぐための措置・安全帯の使用が必要である」と定めています。遮熱シートを屋根などの高い場所に施工する場合、以下の措置を取らなければなりません。
- 作業床を設ける
- 作業床の端や開口部等には囲い、手すり、覆い等を設置する
これらの措置が難しい場合であれば、専門業者に工事を依頼する必要があります。
参考資料:労働安全衛生法令における墜落防止措置と安全帯の使用に係る主な規定(厚生労働省)
定期的なメンテナンスが必要
遮熱シートは、日射による外的要因や使用環境によって劣化するため、定期的なメンテナンスが必要です。主なメンテナンス方法は、以下のとおりです。
- 季節の変わり目にシートの汚れを掃除する
- 破損箇所を修理する
遮熱シートを屋根・壁に施工する際には、紫外線防止機能を備えた保護シートを併用することで、遮熱効果をより長持ちさせることが可能です。
遮熱シートと他の暑さ対策の比較
暑さ対策には、遮熱シートの他にもさまざまな方法があります。本項目では、遮熱シートと他の暑さ対策との違いについて紹介します。
遮熱シートと遮熱塗料の違い
遮熱塗料は、屋根・壁に塗布する塗料のことです。遮熱塗料を建物に塗布することにより、輻射熱を反射して夏の暑さ・冬の寒さ対策などに役立てることができます。
遮熱塗料は種類によって耐用年数が設定されているので、選ぶ際には注意が必要です。種類別の耐用年数は、主に以下のとおり。
遮熱シートと断熱材の使い分け
遮熱シートと断熱材の違いは、以下のとおりです。
- 断熱材……熱の伝わりを遅らせる
- 遮熱シート……熱(輻射熱)を反射する
断熱材は空気が多く含まれており、空気の層が厚いものほど熱の伝わりが遅くなります。その一方で、断熱材は太陽の熱を吸収してしまうため、屋根・壁へ施工すると逆効果になってしまうデメリットも……。
遮熱材は太陽の熱を反射し、建物へ侵入する熱の侵入を抑えるため、断熱材のように熱を溜めることはありません。熱対策を取る時は、目的や施工箇所に合わせて適したものを選びましょう。
参考記事:断熱材と遮熱材の違い(サーモバリア)
複合的な対策を取る方法
伝導熱・対流熱の伝わりを遅らせる断熱材と、輻射熱の反射に優れた遮熱シートを併用することで、すべての熱移動を防ぐことが可能です。
遮熱シートは、アルミ純度の高いものほど効果がアップするので、アルミ純度99%以上のアルミ箔を使用した「サーモバリア」と断熱材を組み合わせることで、より高い効果を発揮します。
参考記事:理想の断熱(サーモバリア)
遮熱シート施工の費用相場
遮熱シートの施工費用は、屋根の状態や素材によって変動します。本項目では、施工費用に影響を与える主な要素や、費用の目安について詳しく解説します。
さらに施工を検討中の方に向けて、補助金・助成金の情報も併せて紹介しているので、利用する予定のある方はぜひ参考にしてください。

施工費用に影響する要素
遮熱シートの施工費用に影響する要素は、主に以下のとおりです。
- 屋根の形状・大きさ
- 屋根材の種類
- 施工の難易度
- 使用する材料の種類
屋根の形状・状態によっては、安全を確保するために足場を設置しなければならないケースも。(※足場の設置にかかる費用は、約15~20万円です)遮熱シートの施工費用は、施工の難易度が高くなる、または施工範囲が広くなるほどアップします。
弊社であれば、遮熱シートの施工と併用して、外壁や屋根の塗装・足場の設置など付随する工事を行うことができます。足場の工事を同時に進めることで、工期の短縮が可能となり、結果的に施工費用を削減することが可能です。
遮熱シートの費用目安
弊社が取り扱っている遮熱シート「サーモバリア」の費用は、主に以下のとおりです。
・4,000〜6,000円/㎡
遮熱シートには豊富な種類があり、それぞれ施工に適した箇所・料金が異なります。施工の際には、目的や予算にあわせて遮熱シートを選ぶと良いでしょう。
弊社では、Sドローンに搭載されたサーマルカメラの使用により、施工前と後の温度状況を把握した上で、施工箇所に適した工事プランを提案することが可能です。
参考記事:遮熱シートを屋根につけるのは効果的?メリットデメリットや施工事例をご紹介(サーモバリア)
活用できる補助金情報
遮熱シートの施工で利用できる主な補助金は、主に以下のとおりです。
- サプライチェーン対策補助金……工場の建設・設備の整備に必要な費用を補助してくれる制度のこと。
- CO2排出削減設備導入補助金……埼玉県が、省エネに役立つ設備導入費用の一部を補助する制度のこと。
工場の暑さ対策を進める際には、自治体の公式サイトに「補助金制度に関する情報」がないか、事前に確認しておくと良いでしょう。
参考記事:サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金(経済産業省)
参考記事:令和5年度 CO2排出削減設備導入補助金【緊急対策枠】(令和6年1月募集開始分)(埼玉県)
遮熱シートは、適した種類・工法を選ぶことが大事
遮熱シートは、施工箇所にあわせて適した種類・工法を選ぶことが大切です。ここでは、遮熱シートの種類・工法について紹介します。
- 遮熱シートの種類
- 屋根・機械におすすめの工法
屋根・機械におすすめの工法
工場の屋根・機械におすすめの工法は、以下の2種類です。
- スカイ工法……アルミ箔を使用したスカイシートを取り付ける工法。
- フィット工法……遮熱シートを縫製加工して機械を囲い込み、機械から出る熱を大幅にカットする工法のこと。
スカイ工法は輻射熱の対策と同時に、折板屋根特有の「雨漏り」を防ぐ効果も期待できます。
まとめ
遮熱シートには熱対策・光熱費削減などに役立つメリットもある一方で、適切な施工が行われていないと、効果を十分に発揮できないので注意しましょう。遮熱シートの施工を依頼する際には、信頼できる業者に依頼することが大切です。
弊社では遮熱シートの施工・電力や室温の変化検証の他にも、見積もり・施工管理の提案・報告・アフターフォローなどのサポートを一気通貫で行っています。サポート内容が充実しているため、安心して遮熱シートの施工を依頼することが可能です。
工場の暑さ対策を検討している方は、弊社のお問い合わせフォームより、ぜひ一度ご連絡ください。
