「SBT(Science Based Targets)」は、二酸化炭素(CO2)に代表される温室効果ガス(GHG)の削減に関する国際イニシアチブです。「RE100」と並び、世界的に多くの企業で認証への取り組みが進んでいます。
事業活動で排出するCO2の削減目標を設定して気候変動への影響を最小限にすることは、エネルギーコストの削減だけでなく環境経営評価を客観的に高め、企業の競争力をさらに強化できるなどのメリットがあります。
今回はSBTについて認証方法や目標設定の仕方をより具体的に解説しますので、企業の経営者や管理部門の方はぜひ参考にしてください。
日本においてSBT認証を取得した企業数は?
SBT認証を取得またはコミットした日本企業の数は2024年8月末時点で1,283社となり、英国を抜いて世界1位となっています。
国際的な気候変動に対する取り組みにおいて日本は非常に重要な役割を果たしており、今後も多くの企業がSBT認証を取得してサスティナブルな社会の実現に向けた取り組みを継続することが期待されています。
中小企業向けが急増中
日本でSBT認証を取得またはコミットした日本企業のうち、320社が大企業(そのうち東証プライム上場企業は250社)となっていますが、直近では中小企業のSBT認証が急増しています。2023年1月時点で214社だった中小企業のSBT認証取得数は、2024年8月には962社と、実に4倍以上に増えているのです。
温室効果ガスの排出量を削減するためには、大部分を占める中小企業の取り組みが欠かせません。実際、日本にある約360万の企業のうち中小企業の割合は99%を超えているとされています。
参照:WWFジャパンHP 日本企業SBT認定・コミット数が世界1位に
https://www.wwf.or.jp/activities/news/5737.html
中小企業向けSBT
中小企業のSBT認証増加の背景には、2024年1月1日以降の申請において要件が大幅に簡略化されたことが背景にあります。
中小企業向けSBTのメリットは、算出方法が煩雑で多大な労力を要する「Scope3」排出量について基準値が定められていないことにあります。費用も比較的安価で承認における詳細な調査も入らないため、通常のSBT認証と比べて非常に取り組みやすくなっていることもメリットです。
中小企業向けSBT | 通常SBT | |
目標年 | 2030年で固定 | 申請時から5年以上先10年以内の任意年で設定 |
基準年 | 2018年~2023年から選択可 | 最新のデータが得られる年での設定 |
削減対象範囲 | Scope1、Scope2排出量 | Scope1、Scope2、Scope3排出量 |
目標レベル | Scope1、Scope2:少なくとも年4.2%削減 | Scope1、Scope2:少なくとも年4.2%削減 |
Scope3:算定・削減努力のみ (基準値なし) | Scope3:少なくとも年2.5%削減 | |
費用 | 1回USD1,250(外税) | 目標妥当性確認サービスはUSD9,500(外税) 目標再提出ごとにUSD4,750(外税) |
承認プロセス | デューデリジェンス(調査)のみ | 事務局による審査および質問あり |
出典:環境省 中⻑期排出削減⽬標等設定マニュアル P18
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/GHG_target_settei_manual.pdf
SBT認証の申請プロセス
SBT認証について、申請から認証までの流れについて説明します。
SBT認証の申請プロセス①「コミットメント・レター」を事務局に提出
任意のプロセスとなりますが、コミットメント・レターを事務局に提出し、遅くとも2年以内にSBT目標の設定と認証を行うことを宣言します。
コミットした場合にはSBT事務局のウェブサイトにて公表されるため対外的なアピールになり、企業内部向けには従業員の環境意識の向上と社内にCO2削減プロジェクトを形成するきっかけにもなります。
SBT認証の申請プロセス②目標設定・申請書提出
所定の書式に従い、企業は目標を設定しSBT認証申請書を事務局に提出します。
作成においては自社で取り組むことももちろん可能ですが、環境系のコンサルタント会社に依頼して申請を行うケースもあります。
SBT認証の申請プロセス③SBT事務局による回答
SBT事務局は提出された申請書に記載された目標の妥当性を確認し、メールで回答します。
近年は認証希望件数が急増しており、審査開始まで数カ月待たされるケースも多いようですので、余裕を持って申請を行うようにしましょう。
SBT認証の申請プロセス④認証およびSBTウェブサイトにて公表
目標設定の妥当性が確認され申請書に不備が無い場合は、晴れてSBT認証を受けることになります。認証された場合は、SBTウェのウェブサイトにて全世界に向けて公表されます。
認証後は年に一度の報告が必要
SBT認証後は、CO2の年排出量と削減対策の進捗状況を年一回報告しなければなりません。その報告内容はSBTウェブサイトにて公表されます。
また、定期的に目標の妥当性を確認し、現実的な数値に修正していく必要があります。企業の事業活動に大きな変化が生じた場合にも目標の再設定が必要です。
SBT認証における目標設定方法
SBT認証では、世界の気温上昇を「産業革命前と比べて少なくとも1.5℃以内」に抑えることを目的として、二酸化炭素(CO2)に代表される温室効果ガス(GHG)削減目標を設定しなければなりません。
SBT認証における目標は2種類
SBT認証には、短期目標とネットゼロ目標の2種類があります。
・短期目標:申請から5〜10年後(中小企業向けSBTの場合は2030年)の削減目標です。Scope1(直接排出)、Scope2(電力購入などによる間接排出)、Scope3(サプライチェーンなどからの間接排出)のそれぞれについて検証し、「1.5℃目標」と整合する削減量を設定します。
・ネットゼロ目標:2050年までにサプライチェーン全体での排出量を実質ゼロにする長期目標です。Scope1〜3の90%削減が求められます。
SBT目標設定のポイント
・企業範囲:子会社も含めた企業全体で目標を設定します。
・排出量の対象範囲:Scope1、2は必須です。Scope3は全排出量合計の40%を超える場合は目標設定が必要になります。ただし、中小企業向けSBTの場合は算定と削減の努力のみです。
・時間軸:短期目標は申請から5〜10年後となります(中小企業向けSBTの場合は2030年)。ネットゼロ目標は2050年を目標年とします。
・目標設定:SBTが提供する計算ツールを用いて「1.5℃目標」と整合する削減量を算出します。具体的には、SBTiの公式ホームページにあるExcelツールをダウンロードし、基準年、目標年、排出量等を入力すると自動で目標値が計算されます。
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サーモバリアの特徴や効果、活用方法については、こちらの記事も併せてお読みください。
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