工場には労働者の健康を守るための温度管理基準があることをご存じでしょうか?労働安全衛生法などで事業者が守るべき環境基準が明記されており、それを理解していないと労働災害のリスクが高まるだけでなく、コンプライアンス上で大きな企業リスクとなります。
それだけでなく、作業環境が高温になると熱中症や健康障害が発生するリスクがあるのはもちろんですが、集中力の欠如や生産性の低下という問題も起こり得るでしょう。
本記事では工場の温度管理基準について詳しく解説し、その解決策についても提案します。
工場の管理担当者や企業の経営者の方はぜひ参考にしてください。
工場の温度管理基準
労働者の安全と健康を確保するために、「労働安全衛生法」によって職場環境の管理基準が定められています。
労働安全衛生法
労働安全衛生法第二十三条において、「事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、通路、床面、階段等の保全並びに換気、採光、照明、保温、防湿、休養、避難及び清潔に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持のため必要な措置を講じなければならない」とされており、各規則において具体的な数値が定められています。
事務所衛生基準規則
労働安全衛生法の規定に基づき定められている「事務所衛生基準規則」では、空調の有る無しに関わらず室温が10℃以下の場合には「暖房等適当な温度調節の措置」を講じ、冷房する場合には「気温を外気温より著しく低くしてはならない」と事業者の義務を定めています。
空調や機械換気設備を設けている場合には、次の基準での調整を求めています。
項目 | 基準値 |
温度 | 18℃以上28℃以下 |
相対湿度 | 40~70% |
気流 | 0.5m/秒以下 |
浮遊粉塵量 | 0.15mg/㎥以下 |
二酸化炭素 | 1000ppm以下 |
一酸化炭素 | 10ppm以下 |
ホルムアルデヒド | 0.1mg/㎥以下(0.08ppm以下) |
作業環境測定
労働安全衛生法第六十五条で、有害な業務を行う屋内作業場と下表に示す特定の作業場においては事業者が定期的に「作業環境測定」を行い、その結果を記録することとされています。
作業環境測定を行うべき作業場
1.溶鉱炉、平炉、転炉又は電気炉により鉱物又は金属を製錬し、又は精錬する業務を行なう屋内作業場
- 溶鉱炉、平炉、転炉又は電気炉により鉱物又は金属を製錬し、又は精錬する業務を行なう屋内作業場
- キユポラ、るつぼ等により鉱物、金属又はガラスを溶解する業務を行なう屋内作業場
- 焼鈍炉、均熱炉、焼入炉、加熱炉等により鉱物、金属又はガラスを加熱する業務を行なう屋内作業場
- 陶磁器、レンガ等を焼成する業務を行なう屋内作業場
- 鉱物の焙ばい焼又は焼結の業務を行なう屋内作業場
- 加熱された金属の運搬又は圧延、鍛造、焼入、伸線等の加工の業務を行なう屋内作業場
- 溶融金属の運搬又は鋳込みの業務を行なう屋内作業場
- 溶融ガラスからガラス製品を成型する業務を行なう屋内作業場
- 加硫がまによりゴムを加硫する業務を行なう屋内作業場
- 熱源を用いる乾燥室により物を乾燥する業務を行なう屋内作業場
- 多量の液体空気、ドライアイス等を取り扱う業務を行なう屋内作業場
- 冷蔵庫、製氷庫、貯氷庫又は冷凍庫等で、労働者がその内部で作業を行なうもの
- 多量の蒸気を使用する染色槽そうにより染色する業務を行なう屋内作業場
- 多量の蒸気を使用する金属又は非金属の洗浄又はめつきの業務を行なう屋内作業場
- 紡績又は織布の業務を行なう屋内作業場で、給湿を行なうもの
- 前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣が定める屋内作業場
作業環境測定基準
測定項目 | 測定位置 | 測定機器 | 測定頻度 | 記録保管期間 |
気温・湿度 | 測定点作業場所の中央部の床上50cm~150cm以下の位置 | 0.5度目盛のアスマン通風乾湿計 | 半月に1回 | 3年 |
輻射熱 | 熱源ごとに作業場所で熱源に最も近い位置 | 0.5度目盛の黒球寒暖計 | 半月に1回 | 3年 |
工場の温度管理が難しい理由
「工場の温度管理基準は理解しているが、環境測定をすると基準値に達しない…」というお悩みを持つ方も多いと思います。ここでは、工場の温度管理が難しい理由と、その解決策を提案します。
工場の温度管理が難しい理由①空調を効かせづらい
一般的に工場内は生産加工のための大きな空間を必要とするため、エアコンなどで空調しようとすると膨大なエネルギーを消費してしまいます。そのため、建物の設計上換気のみで空調を導入していない工場も多いでしょう。
対策としては、スポットクーラーを作業者の近くに置いたり、空調がある場合はビニールカーテンなどで空間を仕切って空気の体積を減らすことが効果的です。
給気換気扇や、開口部の開放で朝晩の涼しい外気を室内に導入することもおすすめですが、食品工場等では衛生面で難しい場合もあります。
対策
- スポットクーラーを導入する
- 涼しい外気を導入して室温を下げる
- ビニールカーテンで空間を仕切る
工場の温度管理が難しい理由②機械の排熱がある
工場内では、生産機械や溶鉱炉・乾燥炉などから高温の熱が発生します。その排熱を換気や空調で完全に処理することは至難の業です。
そこで、生産機械や溶鉱炉・乾燥炉などを遮熱シートで覆うことをおすすめします。遮熱シートで覆うことにより、熱効率が上がり生産スピードがアップするという副次的な効果が得られるケースもあります。
対策
- 遮熱シートのカーテンで機械スペースを仕切る
- 遮熱シートで機械を覆う
工場の温度管理が難しい理由③日射による輻射熱が発生する
多くの工場は鉄骨造で建てられており、屋根も金属板が使用されています。鉄は熱を伝導しやすいため、特に夏場の日射熱をダイレクトに室内に伝えてしまうでしょう。
そこで、屋根や外壁に遮熱塗装をして対策している工場もありますが、もっとも効果を発揮するのが屋根もしくは屋根裏の天井に遮熱シートを施工する方法です。
対策
- 開口部にブラインドやスクリーンを設置する
- 屋根や外壁に遮熱塗装を施工する
- 屋根や天井に遮熱シートを施工する
遮熱シート「サーモバリア」を活用した工場の温度管理
場を適切な温度に管理する方法として、遮熱シート「サーモバリア」を使用した対策をご検討ください。
サーモバリアは純度99%以上のアルミ箔を使用した遮熱シートで、輻射熱を97%カットする極めて高い性能を誇ります。
サーモバリアを工場の屋根や壁に施工すると太陽の輻射熱を大幅にカットし、工場内の気温上昇を抑えることができます。空調設備の効率が向上する効果も期待できるため、大幅な省エネも実現できる可能性があります。
また、工場内に熱を発生する生産機械や溶鉱炉・乾燥炉などがある場合も、排熱や輻射熱が発生して温度管理を難しくしてしまいます。そこで、熱の発生源となる機械をサーモバリアで覆ったり、カーテンのように空間を遮断することによって大幅な遮熱効果が得られるでしょう。
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工場をしっかりと温度管理して生産性を向上させましょう
今回は工場の温度管理について、法的な基準と適切な温度に保つための対策について解説してきました。
工場の温度管理の対策として、自信を持っておすすめできるのが遮熱シート「サーモバリア」です。屋根や天井に施工したり生産機械を囲うなどして施工すると、熱の発生源を遮って室内気温をコントロールしやすくなります。
SUNUPでは愛知県内全域の工場を対象に、実際に熱を当ててサーモバリアの効果を確認いただける「遮熱体感」を実施しています。24時間専用フォームにて受付を行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。